2018年1月 ~ 2018年6月 - サミット・ゼミ | 少人数制の学習塾

サミット・ゼミ
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2018年1月 ~ 2018年6月

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(2018年1月 ~ 2018年6月)


(2018年 6月28日) 【対話の力】 [▲ 先頭へ]

日本経済新聞のスポーツ面には毎週火曜日に「スポートピア」という連載があり、5人のスポーツ指導者がコラムを綴っています。今週火曜日の担当は柔道男子日本代表監督の井上康生さんで、タイトルは「指導者は聞き上手であれ」でした。コーチや監督の立場で選手と接して、聞き上手、質問上手の重要性を痛感してきたとのこと。

対話の重要性は常々私も感じています。生徒さん一人一人の状況が違いますから、それぞれを見守って話し合いの場を作らなければ彼らの成長を導くことはできません。そこで、中学クラスでは各テスト、高校クラスでは全国模試の結果が戻ってきた時に個別に反省会をしています。特に高校クラスでは、以前は授業時間中に1人10分位話していましたが、数年前から授業時間とは別に1人30分程度の時間を取っています。勉強や進路のことをかなり深く話し合うことができます。

英語や数学をわかりやすく教えようと工夫していますが、それは学習塾として当然のことです。私の一番大切な役割は生徒の皆さんのやる気を引き出すことであると考えています。これはなかなか難しい課題であり、彼らといろいろ話し合うことが必要です。一方的に話すのでは良い結果を導き出すことはできません。対話をするために聞き上手、質問上手にならなくてはなりません。

井上康生さんのコラムには、「怖いのは指導者が成功体験などから自分のやり方という「手段」に固執して「目的」がぼやけてしまうことだろう。」「今の指導者は一面にのみ能力が偏った「スペシャリスト」ではなく、情報、環境に応じて引き出しを開けられる「ゼネラリスト」であるべきではなかろうか。そのためにも指導者は学び、吸収し続けなければいけない。」という言葉がありました。とても参考になる言葉です。改めて自分への戒めにしたいと思います。


(2018年 6月21日) 【高3数学クラス】 [▲ 先頭へ]

高3数学クラスは今年も3月に開講しました。センター試験対策として8年前に設定し、毎年3月に開講します。私はもともと高校の理数科に入学しました。高校時代、数学は一番好きな科目でした。授業では解法のテクニックや答案の書き方、そしてちょっとした計算の裏ワザを伝えています。

数学のセンター試験で好成績を取るための大切なポイントを挙げてみます。先ずは苦手分野を作らないことです。各大問の配点が大きいので苦手分野があると得点は伸びません。次は、試験時間である60分を有効に使うことです。ある問題で考え込んでしまうと合計点に大きく影響します。さらにセンター試験特有の形式に慣れることです。いわゆる誘導形式で、上手く誘導にのるとスムーズに問題を解くことができます。

3月に開講した頃、生徒の皆さんにはそれぞれの課題がありましたが、少しずつ克服してきました。初めは2次関数や微分積分の問題でのグラフ、図形やベクトルの問題での図がしっかり描けていない人がいました。グラフや図がいい加減であれば正答にはたどり着けません。途中式を乱雑に書く人もいました。乱雑な途中式は誤答を招きます。60分の使い方はやはり大きな課題です。これは60分練習を繰り返すことで徐々に慣れていきます。

開講して3ヶ月余り経った先々週末に今年度初めてのマーク式模試がありました。勉強の成果がどのように表れるのか楽しみでもあり心配でもあります。仮に結果が悪くても、数学のセンター試験本番は来年1月20日でまだ7ヶ月もあります。生徒の皆さんには、まだ十分な時間があるので課題を一つずつ着実にクリアしていこうと話しています。「着実に」がキーワードです。


(2018年 6月14日) 【私大文系入試で数学】 [▲ 先頭へ]

先週木曜日(6/7)、早稲田大学が現在の高1生が受験する2021年度の政治経済学部、国際教養学部、スポーツ科学部の一般入試改革を発表しました。3学部とも、センター試験後継の大学入学共通テストと学部独自試験の2段階で選抜します。日本経済新聞は、私大最難関校が一部学部とはいえ全員に共通テストを課すことは他大学に大きな影響を与えそうだと伝えています。

3学部の内、政経学部は共通テスト100点、英語外部検定試験・学部独自試験100点の200点満点で、共通テストでは外国語、国語、数ⅠAが必須科目で、地理歴史、公民、数ⅡB、理科が選択科目になっています。私は同学部が数学を必須科目にした点が画期的であると思いました。

従来も政経学部は選択科目として数学を選ぶことができました。その数学を必須科目にすることには同学部の意図を感じることができます。必須科目の数ⅠAには「データの分析」や「場合の数と確率」という分野が含まれています。これらの分野で学ぶ考え方や手法は世の中に出た時に役立ちます。法務やマーケティングの仕事の経験をしてきた私の実感です。政経学部は社会とのつながりという点を考慮したのかもしれません。

大学入試改革におけるキーワードの1つが「思考力」です。数学は論理的思考力を鍛えますから、数学を必須科目にすることは理にかなっています。また、私は数学には隠れた効用があると思っています。それは異常値が出てきた時に気付くかどうかということです。例えば、中学数学の方程式応用問題で自転車の速度を求める時に時速180kmという計算結果になった場合です。明らかに違っている答えでもそのまま書いてしまう人が少なからずいます。

人間はコンピュータではありませんから誰でも計算ミスをします。ちょっとした勘違いで変な答えが出てくることもあります。そのような場合に「おかしい」と思って最初の式や途中式を見直すことは数学において大切な能力だと思います。社会に出た時に異常な事象が起こったり、異常なデータが出てきたりすることがありますが、その時に早い段階で「変だ」と思うことは非常に重要です。数学には異常の感知力を鍛えてくれるという側面もあると思います。

最後に述べたことは私の思い過ごしかもしれませんが、数学は思考力を磨き世の中で役に立つ重要な学問であることは事実です。政経学部が数学を必須科目にすることに対して、さすがに早稲田、と思います。


(2018年 6月 7日) 【高3クラスの進化】 [▲ 先頭へ]

先週末に高校総体・総文が終わってほとんどの高3生は部活が終了しました。今週末には石川県統一模試としてのマーク式全国模試が予定されています。高3生は受験モード全開になります。直ちに気持ちを入れ替えることは難しいでしょうが、早く受験勉強中心の生活リズムを作ることが大切です。

今年度は、高3英語クラスの授業内容を少し変えました。昨年までは7月に開始していた自由英作文演習を4月に始めました。近年、各大学の2次試験でよく出題され、対策に時間がかかるからです。金沢大学でも難しい問題が出題されています。本年3/8付け本欄でご紹介した通り、今年の金沢大学の問題は、従来の講義形式の授業といわゆるアクティブラーニングの討論形式の授業を比較して自分の意見を80-120語で答えるものでした。

受験生にとって自由英作文は難問です。テーマを十分理解した上で自分の論理を構成します。日本語の小論文と同様、読み手(採点者)が納得する内容にする必要があります。入試の限られた時間内で簡潔で説得力があるシナリオを作ることは大変な作業です。そして、それを英語に直さなければなりません。入試問題としてとても良い問題だと思いますが、苦手とする受験生が多いでしょう。

過去の高3クラスでは、かなりの英語力がある生徒さんでも自由英作文には苦労していました。英語は良くても内容がテーマから外れていたり、説得力に欠けるシナリオだったりと満足できる出来具合にはなかなかなりませんでした。自由英作文では得点の差が大きくなると思われます。合否を分けるポイントと言えるかもしれません。

対策としては練習を重ねるしかありません。それで今年度は4月に始めました。ただし、高3になって直ぐに自由英作文演習を始める前提として、それまでに英作の力をつけておかなければなりません。このため1年計画で英作力を養ってきました。今は、自由英作文演習と課題日本文の英訳演習を繰り返しています。自由英作文演習は既に4回実施して、高3クラスの皆さんは少しずつ慣れてきました。来年2月の2次試験本番では合格点が取れるようになると期待しています。


(2018年 5月30日) 【上司の指示】 [▲ 先頭へ]

先週の火曜日(5/22)にテレビを見てすっきりした気分になりました。日大アメリカンフットボール部の宮川選手が悪質タックルについて謝罪した記者会見です。関西学院大学のクォーターバックの選手に対するタックルは許されないものですが、公の場に出てきて悪質行為に至った経緯を詳細に説明し、自らの責任を認めて謝罪した若者の姿は感動的でさえありました。国会での佐川前国税庁長官の証言や柳瀬元首相秘書官の参考人答弁を聞いて何か隠していると思われて釈然としない気持ちでいましたが、宮川選手の記者会見での潔さは強く心に残りました。

しかし、その後の状況には悲しいものがあります。日大の内田前監督と井上前コーチが悪質タックルに関する指示を否定し続けています。コーチの指示と選手の理解に乖離があったと述べるに止まっています。しかし、証拠となり得るいろいろな録音や映像があるので、悪質タックル問題は早晩落ち着くべき所に落ち着くことでしょう。それにしても、全ての責任は私にあると言った内田前監督は、責任の意味をどう理解しているのでしょうか。「正人」という監督の名前が虚しく響きます。

今回の事件を見ていて会社や組織でのリーダーシップ、指示の在り方について考えさせられました。特に、誤った指示が与えられた場合に部下はどのように行動するべきかは難しい問題です。最近の大きな事件は東芝不正会計事件です。社長の指示により利益を水増ししたり損失計上を先送りしたりして決算上の利益を大きく見せかけて社会的な問題になりました。

私もサラリーマン時代に辛い経験があります。ある重要案件における上司の指示に対して取引先が反対しました。状況を考慮すれば上司の指示は妥当なものではありませんでした。取引先の意見が正しいと思った私は困り果てました。結局は上司が指示を撤回したものの、その過程で私は大きなストレスを抱えました。今振り返って考えると良い解決策があったと思いますが、その時の私には思いつきませんでした。

サミット・ゼミは今年20周年を迎えます。生徒の皆さんの中には30代半ばになる人もいます。大学を卒業して社会人になった人はかなりの数になります。彼らが会社や組織の中で上司の指示で悩むようなことがあれば、自分のサラリーマン時代の経験や友知人の事例を活かして良きアドバイザーになろうと思っています。


(2018年 5月24日) 【発音記号の解説】 [▲ 先頭へ]

先週の高1クラス(英語)ではCDを使って発音記号を解説しました。大学入試だけではなく、将来英語でコミュニケーションを取る時に役立つであろうものを選びました。

先ずは、apple, box, mother, againの4種類の「ア」の違いを説明しました。その後は、flower(f), very(v), thank(th), sit(s), father(th), shop(sh), love(l), rabbit(r)の発音の仕方を、口の内側のイラストとCDを使って解説しました。重要な発音の違いについても解説しました。heard と heart の違い、bought と boat の違いは試験でよく狙われるポイントです。

「ここに座って下さい」は “Please sit down here.” ですが、”sit” を「シット」と発音すると “shit” になり「大便をする」になってしまいます。(“s” は浮き袋の空気が「スーッ」と抜ける時の「ス」) また、”I love you.” の発音を間違えれば、“I rub you.”「私はあなたをこする。」になり恋は成就しません。

私自身は高校時代、NHKのラジオ講座で発音記号を学びました。私が話す英語は決してネーティブの英語ではありませんが、発音・アクセントはほぼ正確です。本当にラジオ講座のおかげです。番組を担当されていた東後勝明先生(現在、早稲田大学名誉教授)には今でも感謝しています。

高校英語クラスの授業は宿題形式の単語チェックから始まります。高校生の皆さんには、どうせ単語を覚えなければならないので発音記号を必ず見るように話しています。しかし、アクセントを間違えるミスがよくあります。口うるさく発音記号をチェックするように話してもミスが出るのですから、一般的な高校生は発音・アクセントを苦手にしているでしょう。これが日本人の英語下手の原因の1つではないかと思います。


(2018年 5月17日) 【伝わらなかったこと】 [▲ 先頭へ]

前々回の本欄でジャパネットたかた創業者である髙田明さんの言葉をご紹介しました。その言葉「ビジネスの世界だけでなく、政治、医療、教育など、どの分野でも「伝えたつもり」ではなく「伝わった」で初めて変化を起こしていける。」を実感した授業がありました。

先日の高3クラスで2次試験過去問の英語長文問題に挑戦しました。高3のこの時期に解く問題としてはかなりの難問でした。下線部和訳問題に”succession”という単語が含まれていました。この単語は”succeed”という動詞の名詞形ですが、この動詞から派生する名詞には”succession”と”success”があります。後者の意味はお馴染みの「成功」であり、”succession”には「継承」とか「連続」という意味があります。

今年度の高3クラスには難関大学を目指す5名の生徒さんがいます。彼らは「連続」と訳すべき”succession”を「成功」と訳してしまいました。「成功」と訳せば、下線部の英文は意味不明になってしまいます。5名全員が間違ったので少なからずショックでした。「成功」は”success”であることを全員が知っています。おかしいぞ、と気づいて欲しかったです。

高校クラスの授業は宿題形式の単語チェックから始まります。複数の派生語のある単語が出てきた時には逐一注意するようにしています。例えば、名詞”industry”には”industrial”(産業の、工業の)と”industrious”(勤勉な)という2つの派生する形容詞があります。自分では毎回注意しているつもりです。しかし、上述の高3クラスでの誤訳を見て、派生語に注意することを伝えたのではなく、「伝えたつもり」になっていただけだと感じました。

それではどうすれば良いのでしょうか。しつこいと思われるくらい、何回も何回も繰り返すしかないかなぁ~と思っています。


(2018年 5月10日) 【高1クラス開講 in 2018】 [▲ 先頭へ]

先週土曜日に今年度の高1クラス(英語)が開講しました。毎年、高1クラスは5月か7月に開講します。早い方が良いという高3の皆さんからのアドバイスがあり、今年は5月スタートにしました。以前あるご父兄の方から、何故4月開講ではないのかを聞かれたことがあります。私は、高校の勉強のリズムがある程度できてからの方が良いと思っています。また、高1クラスでは英文法の習得が主な目的の1つであり、各高校の文法の授業が少し進んだところで、ガッチリ復習をするという意味合いもあります。

今年度の高1クラスのメンバーは中3クラスに在籍していた6名です。6名全員が残ってくれたのでとてもうれしいです。同時に、期待の大きさをひしひしと感じます。彼らの気持ちに応えなければならないと気を引き締めています。

彼らが中3の時に繰り返した言葉があります。高校入試のためというより、高校で伸びるための勉強をしているというものです。授業をかなり難しいと感じたと思いますが、英語の基礎はしっかり固まりました。例えば、5文型についてはS(主語)V(動詞)O(目的語)C(補語)という記号を使って見極めます。また、不定詞は名詞的、副詞的、形容詞的用法という言葉を使って見極めます。アスリートで言えば体幹がしっかりしているということです。高1で学ぶ細かな文法という筋肉をつけていけば素晴らしいパフォーマンスを発揮するはずです。

彼らの年次から新しい大学入試を受けます。入試改革の内容をにらみながら、20年の経験を基に一緒に頑張っていくつもりです。優秀な彼らがどこまで伸びるかがワクワクしています。3年後にどのような花が咲くのか今から楽しみです。


(2018年 5月 3日) 【伝えること】 [▲ 先頭へ]

本や新聞を読んだりテレビを見たりしていてハッとすることが時々あります。日本経済新聞・最終面「私の履歴書」先月分はジャパネットたかた創業者の髙田明さんの履歴書でした。あの甲高い声を思い出しながら毎日興味深く読みました。先週土曜日(4/28)分にとても参考になる言葉がありました。

「カメラ店で15年、通販を知って29年、商品の良さを伝え続けた日々だった。ビジネスの世界だけではなく、政治、医療、教育など、どの分野でも「伝えたつもり」ではなく「伝わった」で初めて変化を起こしていける。」

英語や数学を口頭やホワイトボードで説明していて、生徒の皆さんが本当に分かってくれたかなと思うことが実際にあります。ホワイトボードに書いて説明し、それをノートに写してもらえば、分かってくれただろうと思ってしまいます。しかし、それは「伝えたつもり」であり、彼らに「伝わった」かどうかはわかりません。本当に伝えるには、説明の仕方を変えるとか、何回か繰り返すなどの工夫が必要です。

伝えるのが大変なのは勉強の仕方です。英語の勉強法は日頃から話していますが、それを実行するには幾つかの要素が必要です。英文構造を分析しようとする姿勢がポイントで、それを文法力と単語力が支えます。そして、ここでは生徒の皆さんの努力という要素が絡みます。これらの要素が上手くかみ合えば大きな変化を起こすことができます。


(2018年 4月26日) 【コーヒーブレイク】 [▲ 先頭へ]

本欄で堅苦しい内容が続きましたので、今回はほっと一息のお話をさせて頂きます。私の授業方針の1つは「楽しく、厳しく」です。厳しいだけでは息が詰まるので、笑いが出るような明るい雰囲気を心掛けています。

以前、休憩時間に生徒の皆さんと話しているうちに会社の運動会の話になりました。最近は運動会を行っている会社は少ないでしょうが、社会人になり立ての頃の日産自動車では社内運動会がありました。新人の私は1,500m競走に出て優勝しました。

優勝の賞品としてエキスパンダーをもらったと話したところ、ある女子高生が「先生、パンダをもらったんですか」と言いました。一同爆笑! 裏表のない心優しい生徒さんは胸筋トレーニング用のエキスパンダーを知らなかったのです。確かに今はほとんど見かけませんから仕方のない反応でした。運動会場から近い吉祥寺駅で賞品としてもらったパンダを連れて中央線に乗る姿を想像してほっこりしました。


(2018年 4月19日) 【英語の勉強法について】 [▲ 先頭へ]

先週の本欄で、私は浪人して英語が得意になったと述べました。本当に河合塾には感謝しています。授業を信じて勉強したら良く分かるようになりました。しかし、現役時代に英語ができていれば浪人しなくてすみました。何故現役の時に英語力が怪しかったかと言えば、得意になるための勉強法が分かっていなかったからです。

先生のせいにすべきではないでしょうが、然るべき勉強法を教えて欲しかったと思います。自分で勉強法を研究すれば良かったのかもしれません。その意味で自分が甘かったです。しかし、今、私が書店で英文読解や英作文の参考書をいろいろ見ても、勉強法の本質を簡潔に的確に説明しているものには出会いません。英語の勉強法は本当に難しいと思います。

高校クラスでの英語の授業に自信を持った瞬間がありました。10年余り前、名古屋の河合塾で浪人した元生徒さんから彼が使った英語の教材をもらいました。英文読解の教科書の最初のページに、名詞の働きをするもの、形容詞の働きをするもの、副詞の働きをするものを3種類のカッコで分けるよう赤ペンが入っていました。私はいつも英文構造をしっかり見抜くように言っていますから、自分のやり方で良いのだと確信しました。自分自身が河合塾で学んだ勉強法を自然にゼミの授業で実行していたようです。

「英文を読んで文構造の正確な解析に基づく和訳を作る。和訳のほかに段落を要約する練習もしておくとよい。また、英語表現を身につけるために、暗唱用英文を覚え、同時に短い英作文を書いて解答を先生にチェックしてもらう。表現力がついてきたら自由英作文に挑戦する。その解答も先生にチェックしてもらうとよい。」これは2次試験の問題集に書いてあった受験生へのアドバイスです。この一節は授業方針に対する信念を支えてくれています。

浪人時代に身につけた英語克服法と20年間の授業経験を基にして生徒の皆さんを導いていくつもりです。どこにも負けない勉強法で彼らを支え、大学入試の突破だけではなく社会での研究・ビジネスにつながる英語力の養成を目指します。


(2018年 4月12日) 【英語の4技能】 [▲ 先頭へ]

英語の4技能について自分の経験を述べたいと思います。初めて英語を使って仕事をしたのは大学卒業後に勤務した日産自動車・法規部の海外グループの時でした。入社4年目で、英文の契約書を作るのが主な仕事でした。契約や訴訟の相談で海外の弁護士と打ち合わせをすることも数多くありました。その後は海外部門に移りました。相手国の人が東京に来たり自分が海外に出張したりして、本格的に英語を使って仕事をしました。日産を辞めた後も英語を使ったビジネスに従事しました。

英語で仕事をするには「読む」と「書く」が基本であり圧倒的に重要です。この2つができなければ仕事を進めることは不可能です。高3の現役時代、私の英語力はかなり怪しかったです。特に英作が苦手でした。しかし、浪人して英語がレベルアップして安定しました。このおかげで「読む」と「書く」では苦労しませんでした。浪人しなかったら自信を持って英語のビジネスをすることはできませんでした。(学習塾もしていなかったでしょう。)

「聞く」と「話す」は仕事を進める過程でだんだん慣れていきました。最初は下手くそでした。特に「聞く」はひどいものでした。契約書に関する相談のため初めて海外出張した時、相手の弁護士の英語が上手く聞き取れず、 “I’d like to confirm.”(確認させて下さい。)を連発しました。若かりし頃のほろ苦い思い出です。英語は習うより慣れろ、と言われることがありますが、「聞く」と「話す」に関しては本当にそうだと思います。

英会話ができるようになったのは日産の輸出部門の時でした。それまでは頭の中で日本語を英語に直して話していました。海外出張先での価格交渉で議論が熱くなった時、頭の中で翻訳していては話についていけず、突然頭の中の翻訳なしに英語が口から出てきました。その日の夜、英語で夢を見たことを今でも覚えています。英語でのコミュニケーションが絶対的に必要な状況になれば、誰でも少しずつ慣れていくと思います。

因みに、レベルが高くなると「聞く」ことが非常に難しいことがわかります。海外の人は日本人には比較的ゆっくりと話してくれますが、英語を母国語とするネーティブの人が普通に話すのを聞き取るのは大変です。また、日常的に「聞く」と「話す」状況から離れれば直ぐにスキルダウンしてしまいます。アメリカに駐在していた日産時代の上司は、帰国後、在日米軍向けのラジオ放送FEN(現在はAFN)を聞いていました。

金沢にUターンしサミット・ゼミを始めて20年になります。英語の授業のおかげで「読む」と「書く」力はキープできています。「聞く」はセンター試験のリスニング対策でCDを聞いてはいますが、この「聞く」と「話す」スキルは落ちてきたと感じていました。しかし、昨年末以来二人のアメリカ人、イギリス人と出会って時々話すようになりました。今年に入りほぼ毎日NHK夜の7時のニュースを録画して、帰宅後副音声の英語で聞いていることもあり、この2つのスキルは大分戻ってきました。

大学を出ても日本人は英語でのコミュニケーションができないと言われてきました。輸出国日本を支えてきたビジネスマンは、私のように実務を進める中で「聞く」「話す」を実践していったのでしょう。しかし、大学入試改革は、社会に出る前の段階で英語でのコミュニケーションが取れるようにすることを目指しています。入試改革で英語の試験がどのように変わるのか、特に「聞く」と「話す」の試験内容が気になります。どのような形になろうとも準備を怠らず、しっかり対応できる授業を実施するつもりです。


(2018年 4月 5日) 【大学入試改革 その4】 [▲ 先頭へ]

センター試験に替わる大学入学共通テスト(2020年度=2021年1月から実施)では英語の4技能を評価し、民間の試験を活用することになっています。この点について東大は、先月10日、民間試験を合否判定に使わない方針を明らかにしました。民間試験の目的や基準が異なるので、入試における公平性の担保が難しいという理由でした。東大の決定は他大学の方針に影響を与えるとみられています。民間試験を使わなければ、大学入試センターが2023年度まで作成する現行と同じ2技能を測る試験を使うことになります。確かに、ビジネス界で重要視されるTOEICと海外留学を前提とするTOEFLなど性格の異なる民間試験を使うことには問題があります。

日本人は学校で長年英語を学ぶのに英語でのコミュニケーションが苦手だとよく言われます。そのような問題意識から、大学入試で読む・書く・聞く・話すという4技能のテストが課されるのでしょう。高校までの段階で4技能をバランス良く伸ばすという趣旨は理解できます。しかし、どの段階で、それぞれの技能のどのレベルまでを要求するかは大きな問題です。日本語を話さない人と何とかコミュニケーションできるというレベルと大学で専門書を読んだりビジネスで使ったりするレベルは明らかに違います。

大学の研究やビジネスで本格的に使うことを想定するなら「読む」と「書く」が圧倒的に重要です。大学入試の時点で本当に使えるレベルまでに「読む」「書く」技能を高めておかなければ仕事はできません。日本の国力が落ちるとさえ言えます。「聞く」と「話す」を相当なレベルまで高めようとすれば、高校での対応は大変なことになります。

個人的には、社会で活躍する条件として「読む」と「書く」の力をしっかり身につけることが最も重要だと考えます。「聞く」は現行のセンター試験レベルで良いと思います。「話す」は大学入試でテストする必要性は小さいと思います。「聞く」「話す」を伸ばす授業を中高で行えば、「読む」と「書く」が弱くなる可能性があります。あるいは、授業全体における英語の比重が大きくなり、他の科目、特に国語と数学とのバランスが問題になると懸念します。

英語が「売り」の学習塾として述べるのは若干抵抗がありますが、英語はコミュニケーションのための手段、道具であることを忘れてはならないと思います。英語が重要視され過ぎると基礎学力のバランスが崩れます。英語はできないが仕事ができる、英語はできるが仕事ができない、どちらが重要かは明らかです。昔の「読み・書き・ソロバン」は今では「読み・書き・ソロバンそして英語」です。英語が優先されるべきではありません。

サミット・ゼミの授業では従来通り「読む」と「書く」を鍛えるつもりです。最近気になっているのは「書く」力です。英語らしさの前に文法的に正しい英文を書く力が一般的に落ちてきていると感じています。近年は自由英作文がよく出題されますから、「書く」力を磨かなければなりません。「聞く」対策は従来と同様センター試験形式のリスニング演習を実施します。「聞く」と「話す」については今後の入試改革の内容を見ながら対応するつもりです。なお、東京外国語大学が2019年度入試から一部学部で「話す」テストの実施を計画しています。

入試改革で英語の4技能が試験科目になるということで多くのご父兄の皆さんが心配されています。中学生のお母様から相談されたこともあります。然るべきレベルの大学を目指し、将来は英語でコミュニケーションし、英語で研究やビジネスをするために本当に中高で身につけるべきものは何かを落ち着いて考えて欲しいと思います。


(2018年 3月29日) 【大学入試改革 その3】 [▲ 先頭へ]

先週末、高校時代の仲の良い友人と会いました。彼はある大学の数学の教授で、金沢大学での研究会のため金沢を訪れました。高校時代の友人は大学時代の友人とは少し異なり、心のより深いところでつながっているような気がしています。今回もいろいろなことについて遠慮なく話し合いました。

前回の本欄で大学入試改革について述べたところだったので、改革の必要性について彼の意見を聞いてみました。彼は「入試改革の必要性が全くわからない」と答えました。センター試験と2次試験の現行システムで十分機能しているのに何故変える必要があるのかという意見でした。この認識は私と全く同じです。

センター試験に替わる新入試制度「大学入学共通テスト」では国語と数学で記述式が導入される予定です。今は誰が採点するのかが問題になっています。文部科学省から数学の採点の依頼が彼の大学にあり、大学として断ったそうです。彼によればほとんどの大学が断っているとのことでした。

入試改革で求められている思考力、表現力は2次試験で十分チェックできるというのが友人の意見です。科目は違いますが、私が金沢大学の英語の問題を解いた時の感想と同じです。思考力や表現力が試される良い問題でした。

現在議論されている入試改革は大学入試の1次試験であるセンター試験の改革であり、大学毎の2次試験の改革についてはほとんど報道されていません。2次試験も含めた入試改革はしっかりウォッチしていくつもりです。ただ、「覚える」と「考える」という勉強の基本は変わらないはずです。「表現する」が大きなポイントになってくると思います。


(2018年 3月22日) 【大学入試改革 その2】 [▲ 先頭へ]

2016年3月に文部科学省の有識者会議が大学入試改革の最終報告をまとめました。翌月21日付け本欄「大学入試改革」で自分の考えをまとめました。現行のセンター試験と2次試験の大学入試の仕組みの何が改革すべき問題であるのか理解できないと述べました。従来の「知識」に加えて入試改革で求めている「思考力・判断力・表現力」は各大学の2次試験で測ることができるという考えは今でも変わっていません。

先々週の本欄で金沢大学の英語入試問題について述べました。2つの長文読解問題では内容を理解する読解力や設問の指示を踏まえて解答する対応力が問われていました。自由英作文は思考力、表現力が試される問題でした。全体として2次試験らしい良い問題でした。問題を解き終わった際、こんなに良い入試問題なのに何故入試改革が必要なのであろうかと改めて思いました。

上述の最終報告には「多様な人々と協力しながら主体性を持って人生を切り開いていく力が重要になる。知識の量だけではなく、混とんとした状況の中に問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質や能力が重要になる。」この認識はその通りだと思います。社会に出ると様々な価値観を持った人々と出会います。実に様々な問題、課題が発生します。それらには教科書的な解決策がありません。その場に適した答えを考えなければなりません。そしてその答えを相手が納得できるように表現しなければなりません。

大学入試改革の具体的な全体像がまだ見えないので明確な話はできませんが、どうも「入試改革」というお題目が独り歩きしているような印象を受けます。入試改革が求める方向性を考えると、もっと小論文について議論されるべきです。模範解答がありませんから正に思考力、提案力が求められます。英語の2次試験で最近は自由英作文が多く出題されています。自由英作文は英語版ミニ小論文です。各大学は思考力、表現力をチェックするために自由英作文を出題するようになったのかもしれません。

新高1生から新しい大学入試を受けることになります。それほど遠い話ではありません。具体的な改革内容がはっきりしてきたら、授業内容に必要な修正を加えなければなりません。入試改革の動きを注視していくつもりです。なお、英語の読む・書く・聞く・話すの4技能については別途自分の考えを述べたいと思っています。


(2018年 3月15日) 【公立高校入試 in 2018】 [▲ 先頭へ]

昨日(3/14)、公立高校入試の合格が発表されました。先週6日・7日に行われた入試の問題は試験翌日の地元紙に掲載されました。私は直ぐに英語と数学の問題を解いてみました。

英語では、3番の対話文の問題形式が変わりました。昨年まで出題されていた普通の対話文ではなく、英文のチラシに基づく対話文になりました。大学入試センター試験第4問Bの英文資料の問題のようだと感じました。チラシの内容を理解した上で対話文を読まなければならないので、普通の対話文の問題よりかなり時間がかかります。4番の長文問題は、7つの小問の内4つが英語で答える問題でした。問題形式の変更に驚いたり、時間が足りなくなってあせったりして得点が伸びなかった受験生が少なからずいたことでしょう。

数学で一番印象に残ったのは円周角を利用して角度を求める問題でした。円周角を使うことに気がつくかどうかがポイントの難問でした。その次の証明問題は例年通り少しひねってあり易しい問題ではありませんでした。他にも難問がありましたが、関数や確率の問題は昨年よりは易しくなりました。数学の平均点は過去5年連続で50点を下回っていますが、今年はどうでしょうか。なお、前々回の本欄で述べた作図の問題は標準的な問題でした。

受験生の皆さんには、数学は自分の目標点を決めて、その点数を確保するよう指示していました。難問を捨てて基本的な問題でケアレスミスをしなければ目標点は取れるものです。もちろん、練習を重ねて初めて確実に実行できるようになります。今年の入試問題を解いてみて、目標点を取ることの重要性を改めて感じました。新中3クラスでは、7月に予定されている最初の模試の頃からこの練習を始めるつもりです。

英語の新形式の問題対策として何をすべきかが課題です。従来の中学クラスの英語の授業を修正する必要性は感じていません。今年の入試問題を踏まえると、速読がより重要になると思います。英文が速く読めるようになれば、時間的に余裕を持って問題が解けるようになります。毎年、速読練習をしていますが、さらに強化するつもりです。英文資料(チラシ)を伴う問題については金沢そして東京の大きな本屋さんで良い問題集を探そうと考えています。


(2018年 3月 8日) 【金沢大学・英語入試問題 in 2018】 [▲ 先頭へ]

先週日曜日(2/25)に大学入試2次試験(前期日程)が実施されました。今年も金沢大学の英語の問題を解いてみました。大問3問で、長文問題2問と自由英作文1問の構成は昨年と同様でした。

昨年も良い問題だと思いましたが、今年はさらに良い問題でした。第1問のテーマは都市のヒートアイランド現象でした。この問題は現代の大きな課題です。第2問はカルチャーショックに関する問題でした。海外に住み始めるとhoneymoon(蜜月), frustration(挫折), adjustment(適応), acceptance(受容)というカルチャーショックの4つのステージを経験するという内容でした。グローバリゼーションが進む現代において興味深いテーマです。

昨年の2つの長文問題のテーマは、グローバリゼーションと技術革新が進む中での未来の仕事と、物語の架空人物への感情移入でした。英文の長さや難度に大きな違いはありませんが、テーマが分かり易い分今年の問題の方が易しく感じました。今年も昨年同様、英語で解答する形式でした。設問に対する答え方によってちょっとした減点が重なる可能性があります。

第3問は2つの授業形式について述べる自由英作文でした。講義形式と討論形式の良い点、悪い点を比較した上で、3つの理由を挙げて80~120語で自分の意見を述べる問題でした。難問です。先ずは論点を整理して英作のシナリオを考えなければなりません。英作文という技能が問われる前にシナリオの構成力が要求されます。この第3問では受験生による得点差が大きくなり英語全体の出来具合にかなり影響したと思います。

近年、多くの大学で自由英作文が出題されるようになりました。サミット・ゼミの授業でも自由英作文の演習回数を増やしています。昨年そして今年の金沢大学の自由英作文の問題を解いてみて、授業ではシナリオ作りの練習をもっと増やさなければならないと思いました。例年は夏休み位から自由英作文演習を始めますが、今年は来月から始めようと考えています。


(2018年 3月 1日) 【作図を確実に】 [▲ 先頭へ]

今週日曜日(2/25)に国公立大学2次試験・前期日程が実施されました。来週火曜日・水曜日(3/6, 7)には公立高校入試があります。入試シーズンも大詰めを迎えています。

中3クラスでは2月初めの私立高校入試の後は英語、数学とも50分総合問題演習を繰り返しています。公立高校入試の過去問にも挑戦しています。英語は対話文問題、長文問題とも近年かなり長くなっていますが、速読に慣れてきた生徒の皆さんの対応力が上がっています。問題はやはり数学です。5年連続で平均点が50点を下回る難しい入試が続いています。

過去数年の数学の問題を改めて解いてみました。解説をする時のポイントを再確認するだけではなく、50分の使い方について効果的なアドバイスをするためでした。数学において時間の使い方は非常に重要です。自分で解いてみた結果、ある問題の持つ意味が意外に大きいと気づきました。それは作図です。

基本問題を解いた上で得点を伸ばすためのポイントは、方程式・関数・規則性の応用問題、合同・相似の証明そして作図です。方程式応用問題(配点10点)はやや難しめの問題が続いています。昨年の規則性の問題(6点)は難問でした。一昨年の証明(6点)も難問でした。関数の応用問題(5-6点)も易しくはありませんでした。作図も決して易しくない問題が続いていますが、幾つかのパターンを押さえれば確実に得点できます。かなりの思考力を必要とする証明が6点ですから、作図の8点という配点は大きいです。解くための時間が短くてすむという点もメリットです。

中3クラスの皆さんには、今までの数学の問題を見直す際に作図問題のパターンをしっかりチェックするように指示しました。狙われるポイントは多くはありません。数学は失敗し易い科目です。それぞれの目標点を決めて、その点を確実に取るようにしようと話していますが、作図で得点できれば目標点を確保し易くなります。


(2018年 2月22日) 【出願倍率 in 2018】 [▲ 先頭へ]

昨日(2/21)の朝、ドキドキしながら地元紙を見ました。公立高校一般入試の出願が20日に締め切られ、昨日の朝刊に出願倍率が掲載されたからです。毎年ドキドキしますが、今年は特に上位校の倍率に注目していました。

近年は泉丘の人気が高い傾向があります。特に今年度は顕著でした。本年1/7に実施された石川県総合模試における同校の基準偏差値(合格可能性80%の数値)は68でした。この数値は平均点プラス約140点を意味します。以前の私の感覚では泉丘65-66、二水62ですが、過去数年間は泉丘66-67、二水61-62でした。今年の68という数値には驚きました。

20日締め切りの倍率は、泉丘1.27倍(昨年1.28倍)、二水1.32倍(昨年1.37倍)でした。石川県総合模試のデータからは高倍率が予想されるものの、高倍率を嫌って泉丘希望者が二水に変えるかもしれないと思っていました。泉丘の1.27倍は3年前の1.35倍や昨年ほどではありませんが、同校の倍率としては高い倍率です。初志を貫徹させた受験生が多かったようです。

二水の1.32倍は昨年よりは低くなりましたが2年前、3年前と同じ水準です。桜丘の1.65倍は例年通りの高倍率でした。錦丘の1.76倍は昨年の1.51倍よりかなり高くなりました。同校は錦丘中からの3クラスを除いた5クラスの募集ですから倍率の変動幅は大きくなります。

倍率は23日~27日の志願変更期間を経て確定します。生徒の皆さんには、倍率を気にしないで自分の志望校をしっかり見据えてできる限りの準備をしようと言うつもりです。入試においては、人事を尽くして天命を待つ、という姿勢が基本です。


(2018年 2月15日) 【センター後の高3英語クラス】 [▲ 先頭へ]

大学入試2次試験(前期日程)まで丁度10日になりました。前期日程試験は毎年2月25日に実施されます。センター試験後の高3英語クラスでは過去の2次試験で出題された長文問題と英作文問題の演習を行っています。

長文読解問題に関しては、生徒の皆さんの志望大学を踏まえて英文の難度、内容、長さと設問を考慮しながら演習問題を選びます。この作業は生徒諸君の出願大学が決まった後すぐに行います。問題を選んだ後は、最後の授業までの解いていく順番を決めます。基本的には2次試験に備えて難しい問題を選びますが、難問を続ければ自信を無くしてしまう可能性があるので、解く順番には結構気を使います。

今週の問題は、英文を読み解くカギとなる英単語の意味を推測するのが難しい問題でした。2次試験が迫ったこの時期に相応しい問題を選びました。生徒の皆さんは懸命に問題に取り組みました。丸付けをした後の解説の際は、英文構造の説明、設問の答え方だけではなく時間の使い方や目標の得点率についても話しました。今年度の授業は残すところ来週の1回だけです。最終回に相応しい長文問題を準備してあります。

英作文演習は基本的に毎回の授業で続けてきました。近年は与えられたテーマに関して自由に論じる自由英作文がよく出題されるので、今年度は自由英作文演習を多めに実施しました。センター試験後は課題英作と自由英作を交互に演習しています。来週の最終回は自由英作で、テーマは幾つかの候補を選んだ上で1つに絞りました。

センター試験後の英語の勉強において最も大切なポイントは単語力です。金沢大学水準以上の大学で出題される長文問題では難しい単語が数多く出てきます。英文の内容が分かれば設問の正答率は高まりますから単語のレベルを上げることは非常に重要です。「単語のレベルを上げること」はセンター試験後の高3英語クラスでの私の決まり文句です。


(2018年 2月 8日) 【方程式応用問題 その2】 [▲ 先頭へ]

今週日曜日(2/4)に今年度最後の石川県総合模試が行われました。模試本部は問題を翌月曜日に教室に宅配してくれます。私は直ぐに英語と数学の問題を解きます。今回の数学は基本を踏まえて応用力を試す良い問題が並んでいました。相似の証明や三平方の定理の応用問題は模試最終回らしい問題でした。

少し驚いたのは連立方程式の応用問題でした。一定の速さで走る列車が鉄橋を渡り始めてから完全に渡り終えるまで、トンネルにすっかり入ってから先頭が出るまでの時間から列車の長さと速さを問う問題です。このような問題は昔の方程式応用問題の定番問題でしたが、近年はあまり出題されないという印象があります。珍しい問題を最後の模試の問題として選んだ出題者の意図を考えてみました。

過去10年の公立高校入試での方程式応用問題を調べてみました。ほとんどが値段に関する問題で時間・距離・速さの問題も2つありました。模試出題者は、この流れから時間・距離・速さに関する少し変わった応用問題を選んだのかもしれません。過去10年間出題されなかった問題として、食塩水の問題と昨年・今年の生徒数の増減に関する種類の問題が気になりました。

テストにおいて、この問題が出ると山を張ることはやるべきではありません。ましてや、入試では論外です。中3クラスの皆さんには、どのような問題が出るか予想することはせず、これまでの学校のテストや模試の方程式応用問題を見直して苦手なタイプの問題のポイントを確認するよう指示するつもりです。ただし、食塩水の問題と昨年・今年の増減に関する問題については要注意と言い加えようと思います。


(2018年 2月 1日) 【しくじりノート】 [▲ 先頭へ]

今週日曜日(1/28)に「しくじり先生 俺みたいになるな!!」のスペシャル放送がありました。同番組は昨年9月までテレビ朝日系でレギュラー放送されていました。ゲストの先生が自分の失敗談や教訓を披露する面白い番組でよく見ていました。

「しくじり先生」という気になるネーミングからヒントを得て、昨年秋に中3クラスで「しくじりノート」を作ろうと提案しました。今年度3回目の石川県総合模試が10/1に行われた頃でした。模試で上手くいかなかった点をノートにまとめて、その後の統一テスト、模試そして高校入試に活かすという趣旨でした。

サミット・ゼミではノートを準備してもらっています。ホワイトボードで説明した英語の大切なポイントや数学の覚えておくべき問題を書き留めています。そのノートにしくじりポイントのコーナーを作るよう話しました。失敗したことだけを書けばマイナスイメージが溢れて精神的によろしくないので、良かった点も書くように言い添えました。

今日(2/1)は私立高校の入試が行われました。しくじりノートの成果が出ることを願っています。次の日曜日は今年度最後の模試があります。しくじり&成功ノートが更に充実して来月6日・7日の公立高校入試に活きることでしょう。


(2018年 1月25日) 【センター試験 in 2018】 [▲ 先頭へ]

センター試験が1月13日・14日に行われました。金沢では直前の水曜日から金曜日にかけて大雪だったので、受験生の皆さんは試験前日の下見は大変だったと思います。試験当日の会場への足についても心配したことでしょう。試験当日の土曜日の朝、小雪がちらつくのを見ながら、公平性の観点から以前話題になった秋入学が真剣に検討されるべきではないかと思いました。

今年のセンター試験は900点満点の総合型として、文系の平均点は552点で昨年-3点、理系は560点で昨年+1点(河合塾情報)でした。全体としては昨年並みと言えます。

今年も試験後直ぐに英語と数学の問題を解いてみました。英語の平均点は123.78点(1/19大学入試センター発表)で昨年の123.73点とほぼ同じでした。今年は昨年まで第3問Aにあった対話文完成問題2問がなくなり、第4問Bの英文広告読み取り問題が1問増えて全体として問題は1問減りました。今年の英語の特徴は第5問です。昨年は夢の中でネコになりスマホのし過ぎを反省した物語でしたが、今年はタコに似た生物が惑星X(地球)を探検する日誌でした。びっくりした受験生が多かったと思います。結構大胆な内容の変更であり、来年の第5問に備えてゼミの授業では過去の幾つかのタイプの英文で練習するつもりです。

英語の発音問題で予想が的中しました。テストにおいて山をはることは邪道で、すべきではありません。しかし、私は英語の発音問題について参考資料を作っています。2007年に復活してからの発音問題を全て記載した上で出題されそうな発音記号を3つ予想しました。その1つが的中しました。英単語の発音のポイントは多くはありませんからある程度予想できます。これから今年の問題を加えて資料を改訂し、来年の問題を予想するつもりです。

数ⅠAの平均点は61.92点(昨年61.12点)、数ⅡBは51.08点(昨年52.07点)と数学2科目の合計点も昨年とほぼ同じでした。実際に解いてみて、絶対的な計算力が必要だと改めて思いました。数学、特にⅡBは試験時間60分との戦いです。今年は両科目で難しそうに見えて実は簡単という問題がありました。限られた時間の中でどう得点を積み重ねるかというテクニックも必要です。センター数学の対策は60分練習を繰り返し、時間の使い方を含めて丁寧に見直すことに尽きます。

センター試験は100点満点で平均点が60点余りとそれほど難しいテストではありません。しかし、科目数が多く、また英数国は時間との戦いという側面があるので思い通りに得点することは容易ではありません。今年はセンター試験を終えた高3の皆さんに良かった点と反省点を聞いてみました。貴重な情報が得られましたので、高2クラスの皆さんに紹介しました。


(2018年 1月18日) 【出願大学リサーチ】 [▲ 先頭へ]

センター試験後の水曜日は一年で一番集中する日です。2次試験出願に関するデータバンクがネット上に公開されるからです。私は河合塾のバンザイシステムを使います。高3生はセンター試験翌日の月曜日に各高校で自己採点をし、志望校名を併せて大手予備校に送ります。全国から送られた膨大なデータが処理されて水曜日午後から利用できるようになります。

先ずは、志望校のセンター試験、2次試験の必要科目と配点をチェックします。手元には昨年春に発行された2018年度版の入試データをまとめた本があります。しかし、その後各大学が変更を加えることもありますから志望大学のホームページで平成30年度の入学者選抜要項を確認します。その上で生徒の皆さんのセンター試験での持ち点を計算します。この持ち点はバンザイシステムで自動計算されますが、念のため自分でも計算します。

次に、バンザイシステムに示された河合塾の判定情報(A~E)を資料に書き込みます。その横には駿台予備校の判定情報も加えます。最後に、旺文社のパスナビというシステムで過去の合格最低点を調べます。そして過去2年間の合格最低点と生徒の皆さんが2次試験で必要な得点と得点率を資料に書き加えます。何点取れば良いのかというデータはとても役立ちます。

生徒の皆さんから連絡のあった志望校について出願資料を作成します。しかし、合格が厳しいケースもあります。その際は出願候補大学を探します。センター試験と2次試験の配点比率、2次試験の科目を調べると有力な大学を探し出せることがあります。この情報も作成資料に加えます。

昨日は授業がなく午後4時から資料作りをしました。生徒の皆さん5人の資料を作るのに5時間程度かかるだろうと思っていましたが、作業が終了したのは11時半でした。彼らの人生に影響を及ぼす資料ですから頑張りました。ほとんど休憩のない集中した7時間半でした。今日、高3クラスがありますから、昨日作成した資料を基に生徒の皆さんと出願大学について相談するつもりです。


(2018年 1月11日) 【勉強のコツを伝え、やる気を引き出す】 [▲ 先頭へ]

中3クラスの冬期講習は2週間の冬休み中、1回3時間で6回実施しました。通常は週2回、1回2時間15分の授業ですから、時間数的には2倍の長さでした。また、通常授業の英語・数学に加えて、国語、理科、社会の授業もありました。生徒の皆さんは1/7に模試、1/10に地域統一テストがあって自分なりの勉強が必要ですから、冬期講習としては適度な時間数だと思っています。

以前、泉丘に合格した生徒さんのお母様から、サミット・ゼミの夏期講習や冬期講習そして通常授業の時間数が少なくて心配だったという声をお聞きしました。時々お聞きするご感想です。確かに、他塾、特に大手塾に比べれば授業時間数はかなり少ないかもしれません。通常は理科や社会の授業はありません。

私は本当の勉強とは自分でやるものだと考えています。もちろん、学校や塾で様々なものを習います。しかし、それらのものを自分自身の知識、理解とするためには、自分一人の場で消化するという過程が必要だと思うのです。例えば、英語のプリント練習です。問題練習の後答え合わせをします。生徒の皆さんはミスした個所を直します。しかし、これだけでは確実に理解・暗記できたかどうかは疑わしいです。私は帰宅した後ミスした個所をもう一度チェックするように言います。こうすることでその項目を確実に自分のものにすることができます。

理科や社会は基本的に自分で勉強できると思います。難しいのはやはり英語と数学です。これらの科目には然るべき勉強の仕方で取り組まなければなりません。すなわち勉強のコツが必要です。学校を補完する役割を担うべき学習塾としては、勉強のコツを伝え、そのコツをマスターしてもらう授業をすれば良いと思います。

授業時間数について述べてきましたが、一番大切なことは生徒の皆さんのやる気を引き出すことです。彼らの心に火をつけることができれば、授業時間数が少なくても十分に伸びていきます。生徒の皆さん一人一人と対話し適度な刺激を与えて彼らの学力向上を導き見守るという姿勢があれば、それほど長い授業時間は必要ありません。


(2018年 1月 4日) 【生徒の皆さんの将来のために】 [▲ 先頭へ]

新年あけましておめでとうございます。

お正月のある討論番組の中で、今後AIが様々な分野でますます活用されるようになることを考慮すれば教育の在り方も変わっていかなければならないという指摘がありました。様々なものがインターネットでつながり情報交換されるというIoT(Internet of Things)が広がり、AIが進化すれば、どのような時代が到来するのか想像することはできません。

元日付け日本経済新聞の「新しい日本へ8つの提案」特集の「学制」では、優れた人材を特別待遇で伸ばす仕組み、道路にたとえるならユニークな才が最高速を出せる「追い越し車線」の設置を検討すべきではないかと提案しています。この提案は上述の討論番組の中での指摘に応えるような内容です。実際に、千葉大学は高2、高3生を1年か半年早く入学させる「飛び入学」を約20年続けています。

AIとIoTがもたらす変革は第4次産業革命と呼ばれています。変革が激しい時代には飛び級や飛び入学のような制度が必要かもしれません。しかし、教育の本流は変わらないはずです。様々な局面において自分で思考、判断、行動できる人材を育成するということになると思います。ベースになるのは読解力、表現力、計算力で、思考力やコミュニケーション能力を加えて応用可能な総合能力に至ります。この考え方は新しい大学入試制度が志向するものと同じだと思います。

ゼミの授業は大学入試や高校入試を目標にした内容になっています。しかし、単に入試のための勉強という以上に、将来実際に使える英語力、様々な場面で応用できる論理的思考力を養うという視点を持っています。第4次産業革命が進展していく世の中の動きは常にウォッチしながら、生徒の皆さんを楽しく、厳しく導きたいと思っています。

サミット・ゼミは本年10月に開校20周年を迎えます。今までの経験を基に更なる工夫を加えながら授業を進めるつもりです。本年もどうぞよろしくお願い致します。