2019年 7月 ~ 2019年12月 - サミット・ゼミ | 少人数制の学習塾

サミット・ゼミ
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2019年 7月 ~ 2019年12月

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(2019年 7月 ~ 2019年12月)


(2019年12月26日) 【入試改革見送りの影響は?】 [▲ 先頭へ]

「大山鳴動して鼠一匹」と言いますが、2013年以降続いてきた大学入試改革は何だったのでしょうか。萩生田文部科学大臣(11/7本欄では名前の漢字を間違えました。失礼致しました。)は、11/1の英語民間試験の導入見送り発表に続いて、12/17に国語と数学の記述式導入の見送りを発表しました。結局は名称が「センター試験」から「共通テスト」に変わるだけです。鼠一匹どころか鼠のヒゲ一本という感じです。

記述式導入見送りの発表後は様々な報道がなされてきました。その中に非常に気になるものがありました。日本経済新聞の記者座談会の記事(12/23付け)です。政府の教育再生実行会議のメンバーが大学入試センターを視察した際、机上に置かれたセンター試験の問題冊子を開く人は皆無だったそうです。現状の試験問題を確認しないで何故改革ができるのでしょうか。入試改革という課題に真摯に取り組んだのか疑問に思います。

私は毎年、英語と数学のセンター試験を解いてきました。今年は国語の現代文も解きました。本欄で述べてきたようにセンター試験の問題は良問だと思います。特に、英語は様々な分野の問題で構成された素晴らしい内容です。ある記事によると、専門家の間では、センター試験は思考力を問う良問が多いという評価が圧倒的とのことでした。

一昨日(12/24)、文部科学省は、非公開で議論した2つの有識者会議の議事録を公表しました。英語民間試験を活用する案は当初から有力だったようです。公平とは言えないという指摘もあったものの、文部科学省は具体的な打開策を示すことなく実施へ突き進みました。初めに改革ありきで議論が進んできたようです。文科省内には、政治が決めた目標を何とか実現しようとしたが無理があったとの声があるそうです。

政治主導で進んできた「改革」が、10/24の萩生田大臣の「身の丈」発言がきっかけで終止符を打たれました。あの発言がなかったらどうなっていたかを想像すると怖いです。結果的には良かったのですが、2021年1月の共通テストに向けて振り回されてきた高2生や高校の現場を考えれば、政治そして文科省の責任は重いと言わざるを得ません。

大きな懸念が1つあります。英語の問題形式の変更は戻らないようです。センター試験の第1問の発音・アクセント問題、第2問の文法語法・単語並び替え問題はなくなり、共通テストでは第1問から第6問まで全てが読解問題になります。民間試験で「話す」「書く」が測れるから発音・アクセント問題などが出題されなくなるとのことでしたが、復活しません。民間試験が見送りになるのであれば復活させるのが筋です。

大学入試で出題されないのであれば、発音・アクセント、文法・語法を真面目に勉強する高校生が減っていくと思われます。これでは「話す」「書く」の力は養成されません。英語の4技能を伸ばすという最初の目的に適合しないだけではなく、日本人の英語能力が確実に落ちていくことになるでしょう。大山鳴動し、暫くしてから大きな土砂崩れが起きるという事態になるのではないか心配です。

本日の「塾長からの一言」が今年最終回です。本年も一年間どうもありがとうございました。どうぞ良い年をお迎え下さい。


(2019年12月19日) 【中3クラス速読強化】 [▲ 先頭へ]

中3クラスの英文速読演習を強化し始めました。公立高校入試の英語の難化を受けてのことです。

過去2年間、公立高校の入試問題で変化が続きました。リスニング、適文選択、対話文(会話文)、長文という大問4問構成は変わっていませんが、読解問題に英文チラシやグラフが入りました。去年の3番(対話文)は英文チラシ(市内観光バス)に関する問題でした。今年の3番は国際フード・フェスティバルのパンフレットに関する会話文の問題で、さらに4番の長文問題は日本の高齢化を表すグラフに関する問題でした。

入試の英語の平均点は一昨年の53.2点が去年は52.0点になり、今年は48.7点にまで下がりました。問題の英文量が増えていることもあり、明らかに難化しています。入試の難化傾向に応じて中3生が受ける模擬試験も難しくなっています。今月8日の石川県総合模試の英語の平均点は48.5点でした。

今月の模試対策として過去問練習をしました。3番の会話文にグラフが入った昨年の入試形式を受けた問題でした。英文量も多く平均点46.2点の難問で、中3クラスの皆さんは苦戦しました。答案の丸付けをしながら対策の必要性を感じました。英文チラシ、パンフレット、グラフの内容を理解しながら英文を読まなければなりませんから速読が有効な武器になります。

例年、中3クラスでは夏期講習後半に速読練習を始めます。今年も8月後半から少しずつ練習してきました。冬休み明けの統一テストである程度できるようになり、3月の入試ではほぼできるようになることが目標です。今年は速読練習を強化するために今月から毎週2回の授業の度に長文問題を渡しています。過去にはない試みです。冬休み明けの統一テストと模試、そして2月の模試でどのような成果が出るでしょうか。

現行の大学入試センター試験の筆記問題には発音・アクセント、文法・語法が入っていますが、彼らが受ける共通テストは読解問題だけの問題になる予定です。速読の必要性がますます高まります。今回の読解練習の強化は、将来的に彼らの大学入試にもつながるはずです。


(2019年12月12日) 【読解力が過去最低に】 [▲ 先頭へ]

3年毎の12月のこの時期、ある調査結果を気にしています。それは経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA)です。12/4(水)に大々的に報道された通り、日本の読解力は過去最低の15位に沈みました。PISAは2000年に始まり3年毎に「科学的応用力」「数学的応用力」と「読解力」を調査しています。2003年、2006年の調査で日本が成績を大きく下げたことがゆとり教育の是正につながりました。影響力の大きな国際調査です。

PISAの読解力は「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと」と定義されています。社会で生きていくために必要な言語能力で、いわゆる国語の読解力より広い概念になっています。その意味で、日本の順位が過去最低になったことは憂慮すべき状況です。

サミット・ゼミの授業は英語と数学で、中3クラスの夏期・冬期講習を除いて国語の授業はありません。私が読解力の大切さを感じるのは高校クラスでの英語の長文問題演習の時です。特に大学入試2次試験の長文問題を解く時は読解力の重要性を強く感じます。英単語や文法が分かっても、英文全体が意味するものを把握できなければ問題を解けません。英語はアメリカやイギリスの国語ですから、完全に読解力が問われます。

中学クラスで読解力が関係するのは方程式応用問題です。問題に書いてある通りに式を立てられるかどうかがポイントです。難しい問題でも問題文の条件をしっかり考えながら、それを素直に式にすれば解くことができます。

学習塾を始めて21年余りが経ち、読解力の重要性をますます感じています。読解力は全ての教科に関係する学力の根幹です。英語の必要性は言うまでもありませんが、英語の大前提として日本語の読解力が存在することを忘れてはいけません。小学校での学習が気になります。英語教育を進める前に国語の読解力の養成は大丈夫なのでしょうか。


(2019年12月 5日) 【渋野日向子プロ】 [▲ 先頭へ]

今週日曜日(12/1)、高校の先生になっているゼミ最初の生徒であるK君とテニスをしました。3ヶ月に1回くらいランチを賭けてゲームを戦います。スポーツが好きな私が、その日曜日に気にしていたのは女子プロゴルフの賞金女王の行方です。ゴルフ好きな人は誰でも渋野日向子選手(21)の逆転賞金女王への挑戦に注目していたと思います。残念ながら最終戦では2位タイで逆転はなりませんでした。

今年初めて女子プロゴルフツアーに参戦した渋野選手は、何と言っても海外メジャー大会である8月の全英女子オープンで優勝して一躍有名になりました。笑顔を絶やさずスマイリングシンデレラと呼ばれました。日曜日の夜はそんな渋野選手に関するニュースを幾つかネットで読んでいました。その中にとても印象的な話がありました。

渋野選手は2年前のプロテストに落ちた後、青木翔コーチ(36)に師事しました。シーズンオフの合宿では10ヤードから50ヤードの短い距離を狙うウェッジと呼ばれるクラブの練習を一日600~700球行い、その後パターの練習をしました。青木コーチによれば「血のにじむような練習」をしたそうです。もの凄い練習量のためウェッジやパターの溝がすり減ります。この1年でもウェッジは7本目です。先週末の今年最終戦でも、大会期間中のラウンド後に最後までパターの練習をしていたのは賞金女王になった鈴木愛選手と渋野選手だったそうです。

今年の大ブレークは「血のにじむような練習」がもたらしたものでした。月曜日の中3クラスと中2クラスで渋野選手の練習について話しました。彼らは神妙な面持ちで話を聞いていましたがどのように感じてくれたでしょうか。

青木コーチは渋野選手の良い所を「素直さ、鈍感力、オンとオフの切り替えの早さ」と言っています。これは勉強においても当てはまります。素直さは学力が伸びる基本的な条件です。模試結果に一喜一憂しない鈍感力も必要です。また、勉強する時(オン)としない時(オフ)の切り替えはゲームが流行る昨今において非常に大切です。

なお、青木コーチのモットーは「老害にならないこと」だそうです。「自分の経験や失敗談を話しても、渋野の世代には理解できない」と、多くを詰め込み先回りして答えを教えるのではなく、考えさせるとのこと。これは私の参考になります。


(2019年11月28日) 【高2数学クラス】 [▲ 先頭へ]

高校の数学クラスは基本的に高3生向けです。高2生向けの数学クラスは4年前に一度設定したことがありました。時間のやり繰りが難しく、その後高2数学クラスの設定はありませんでした。しかし、今年度は高1クラスの設定がなく時間の余裕があったので、先月から隔週で数ⅠAを復習する高2数学クラスを始めました。

ゼミを開講して最初の頃は、高校クラスの授業は英語だけでした。ある時、高3クラスの理系の生徒さんから数ⅠA・数ⅡBを忘れてしまうのでどうすれば良いでしょうかという相談を受けました。もっともな相談でした。ある分野の問題をある期間見なければ、解き方を忘れてしまうのは当然です。その頃は中3クラスが2クラスあったりして時間がなかったのですが、2-3年準備をした上で高3数学クラスを設定しました。丁度10年前のことです。

高3数学クラスでは高2の3月からセンター試験形式(マーク式)の数ⅠAと数ⅡBの問題を毎週交互に解いていきます。制限時間60分の問題を解いた後は、生徒の皆さんの答案を見て必要なグラフや図を描いているか、計算をきれいに書いているか等をチェックします。その上で、個別にその日の課題を指示して問題の解法パターンの習得を図ります。計算の裏ワザを伝授することもあります。

高2数学クラスでは上述の通り数ⅠAの復習をしています。現在、数ⅡBを学んでいる高2生は数ⅠAを忘れがちですから、10月末の進研模試を契機として開講しました。授業内容は高3数学クラスと同じです。その日に解いた問題の全てをマスターするのは無理があり実際的ではありませんから、各生徒さんが解けなかった問題の解法パターンを一つ一つ身につけてもらいます。テストでの正答率が少しずつ上がっていくはずです。

開講したばかりの10月末の進研模試ではあまり成果が見られないでしょうが、次の1月の進研模試である程度成績が上がることを期待しています。あせることなく着実な成績上昇を目指します。彼らの大学入試を考えれば良いタイミングでクラスを設定したと思っています。


(2019年11月21日) 【高3クラスの授業計画】 [▲ 先頭へ]

センター試験は来年1月18日・19日です。残り2ヶ月を切り、私も少しずつ緊張感が高まってきています。今はセンター試験、そして2次試験までの授業内容を検討しています。試験本番に向けて授業で使う問題の内容や難度を調整して、受験生の皆さんが自信を持って受験に臨めるように工夫します。

毎年7月頃に国公立大学2次試験の問題集とセンター試験形式の実戦問題集が出版されます。私は出版後直ぐに英語と数学の問題集を買い揃えます。英語の2次試験長文問題は、テーマ、長さ、難度をチェックして授業に使える問題を選択します。英語と数学のマーク式実戦問題集では平均点をチェックして授業で使う問題を選びます。今年は問題集を調べる作業が少し遅れていて、2次試験での英語・自由英作文の問題チェックが完了していません。早く作業を終えるために問題集を自宅に持ち帰りました。

授業で使う問題は必ず事前に自分で解きます。問題の難度を実感して、解説のポイントを探るためです。英語の2次試験長文問題は1問が大体30~40分、センター試験形式の実戦問題では英語筆記が80分、リスニングが30分そして数学は60分が制限時間です。問題を解く作業は結構大変です。集中力が必要なので、FMラジオや音楽のスイッチを切って問題に取り組みます。作業は良い感じで進んでいます。英語・数学のマーク式問題はほぼ解き終えたので、今後は英語長文問題を何問か解く予定です。

センター試験まで2ヶ月、そして2月25日の2次試験まで3ヶ月、高3の皆さんは頑張っています。充実した授業で彼らの信頼に応えたいと思っています。


(2019年11月14日) 【英語の4技能 その2】 [▲ 先頭へ]

英語の4技能については、2018年4月12日付け本欄で私自身の経験を述べました。「読む」と「書く」は大学入試の段階で然るべきレベルに至っていました。「聞く」と「話す」は海外ビジネスを実践する過程でできるようになりました。中学・高校時代には後者2技能の授業は全くありませんでした。

今回は高校での英語の授業と4技能について述べてみたいと思います。全国の高校の中には「聞く」や「話す」に力を入れているところもあるでしょうが、石川県の高校の授業では「読む」と「書く」がメインです。しかし、「書く」練習がきめ細かく行われているかについては疑問符がつきます。「聞く」授業は頻度は小さいものの定期的に行われているようです。「話す」授業はほとんど行われていません。

海外の人々とのコミュニケーションのために英語の4技能が必要であることは当然です。そのために大学入試で4技能を測るという趣旨も理解できます。大学入試の内容を変えることで高校の英語の授業を変えていきたいという狙いがあるのでしょうが、この狙いが現実的なものとは思えません。

高校の授業の現状は「聞く」と「話す」の比重が非常に小さくなっています。4技能のバランスを取ろうとすれば「読む」と「書く」の時間を少なくすることになります。ゼミでの授業を通じた私の感想では、高校クラスの皆さんの「読む」力はまだまだ十分ではなく、「書く」力は努力の余地が大いにあります。「話す」ための勉強によって最も重要な「読む」そして「書く」勉強が減ることは大問題です。

高校の英語教育においてどのような姿を目指すのかを明確にすべきだと思います。海外から来る人々と日常会話ができるレベルなのか、英語で研究、ビジネスができるレベルなのかです。文部科学省が目指しているのは前者のような気がします。しかし、それでは日本の研究開発力、経済力に悪影響を及ぼします。4技能全てをバランス良くかなりのレベルにまで伸ばすことは不可能なことではありませんが、残念ながら現状では単なる理想論です。

今般の英語民間試験の導入見送りは、民間試験の受験地や費用の点で大学受験生に公平性が保たれていないということが大きな原因でした。4技能の試験の妥当性については触れられませんでした。この機会に、高校での教育との関連で本当に4技能の試験が必要なのか、必要であれば高校での英語教育をどのようにするかという本質的な議論をするべきだと思います。


(2019年11月 7日) 【英語民間試験】 [▲ 先頭へ]

大学入学共通テストでの英語民間試験の導入見送りのニュースは衝撃的でした。民間試験の受験に必要な共通IDの申込受付は今月1日からでしたが、正にその日に羽生田文部科学相が導入見送りを発表しました。

BSフジでの羽生田大臣の「身の丈」発言は先月24日のことでした。直ぐに野党が批判し、政権与党内でも問題視され始めました。公職選挙法違反疑惑で25日に菅原一秀経済産業相、31日に河井克行法相が辞任に追い込まれて世論の批判を浴びる政権がそれ以上の批判を避けたいという思惑も影響したことでしょう。9月10日に高校の現場を代表する全国高等学校長協会が活用延期を要望しても文科省は強行しようとしていました。政治の力は強いと思わされました。

英語民間試験の活用は大学によって、さらには同じ大学でも学部によって異なっていました。一覧になっている資料はなかったので、私は高2クラスの皆さんの志望大学のホームページで調べていました。非常にわかりにくかったです。5年後の2024年度の実施に向けて試験の仕組みが抜本的に見直されることになり、取りあえずは良かったと思います。

英語の大学入試に関して、現行のセンター試験と2次試験の組み合わせは優れたシステムで改正の必要性を全く感じません。英語の4技能に関しては、センター試験で「読む」「聞く」が測れ、2次試験で「書く」が測れます。「話す」に関しては大学入試で測る必要性について疑問に感じます。4技能をバランスよく伸ばすことが理想ですが、現実的には無理です。「話す」ための勉強によって最も重要な「読む」そして「書く」勉強が疎かになれば日本人の英語力自体に悪影響を及ぼしてしまいます。

民間試験の導入は先送りされましたが、センター試験は来年までで現在の高2生から共通テストを受けることには変化ありません。本当はこれも見直して欲しいです。発音・アクセント・文法語法問題を含むバランスの取れたセンター試験を長文問題だけが淡々と続く共通テストに変える必要があるのか全く理解できません。「話す」を測りたいなら何故、発音・アクセント問題がなくなるのでしょうか。「書く」を測りたいなら何故、文法語法問題がなくなるのでしょうか。

また、現行の筆記200点、リスニング50点満点が共通テストでは筆記、リスニングとも100点満点に変わることも納得できません。バランスが悪すぎます。今回の見送りで「話す」や「書く」を測る民間試験がなくなるのですから筆記試験に発音・アクセントそして文法語法問題を復活させて配点を大きくしなければ整合性が取れないと考えます。

共通テストに関する疑問は消えませんが、それを大前提として高校クラスの授業を進めなければなりません。加えて、自分自身の海外ビジネス経験を通した英語の実用性や生徒の皆さんが将来受けるであろうTOEICやTOEFLのことを念頭に置いて英語の授業の密度を高めるつもりです。


(2019年10月31日) 【英文和訳】 [▲ 先頭へ]

今年度の高2クラスの皆さんは中学生の時から通ってくれています。中2の時から一緒に勉強している人がほとんどです。中学の英語クラスでは高校で伸びるための授業をしていますから英語の基礎はしっかり固まっています。高校入試の段階で、即座に5文型や不定詞の3用法を見抜いていました。また、速読もかなりできるようになっていました。

高校でも順調に伸びてきていると思っていたのですが、先週の英語クラスで彼らの実力に不安を覚えました。それほど難しくはない英文和訳ができなかったからです。例年の高2クラスでは秋頃から大学入試2次試験の過去問に挑戦し始めます。しかし、今年は春から解き始めました。もちろん問題の難度には気を遣っています。先週は5人の内何人かは解けると思って選んだ問題でしたが全員が解けませんでした。

和訳問題の英文が複雑な場合はホワイトボードに書いて英文構造を説明しています。実際の2次試験で出題された問題ですから易しくはありません。一通り説明した後に必ずある指示をします。それは、学校の授業で出てくる難しい英文の構造を見抜く練習をすることです。学校の授業、予習、復習で英文構造を把握する勉強を積み重ねることが英語克服の絶対条件だからです。難しい英文構造を見抜く経験をたくさん積むということです。

先週の授業では彼らの日頃の勉強の成果を感じることができませんでした。皆さんに聞いたところでは、学校の授業では英文を和訳する機会が非常に少ないようです。ある高校の授業で使うプリントには英文和訳の課題が少ないそうです。別の高校の授業は英文の要約をメインにしているそうです。本欄で、高校の英語の授業ではせっかくの教科書が活かされていないと何回か指摘したことがあります。教科書の英文を丁寧に読むことが基本だと思うのですが…

英文和訳のある2次試験問題をたくさん解きたいという生徒さんもいました。ゼミの授業ではいわゆる長文問題である2次試験過去問演習とセンター試験(大学入学共通テスト)対策のマーク式問題演習を繰り返しています。長文読解演習の比率を少し高めようかと考えています。


(2019年10月24日) 【高校受験生の模試】 [▲ 先頭へ]

今週日曜日(10/20)に中3生が受験する石川県総合模試がありました。今年度4回目の模試でした。昨年度までは年間7回でしたが、今年度は8回に増えました。昨年度までと比べて秋の模試が増えました。

団体受験しているこの模試はかつて年間6回でしたが、6年前から年間7回に増えました。中3生にとって年間6回がほど良い頻度だと感じていましたので、年間7回に増えた時は少し多いかなという印象がありました。そして今年から年間8回で、7月から来年2月まで毎月模試があります。これから統一テストが2回あることを踏まえれば、模試が多すぎると思います。

9月に入ってから中3クラスの授業が慌ただしくなっています。模試対策と中間テスト対策が重なったからです。工夫しながら授業を進めているものの、生徒さん一人一人と向き合う時間が減ってしまいました。数学では生徒の皆さんがプリントを解く度に個別にチェックしていますが、その個別チェックが甘くなったことが残念です。

次の模試は11/10で、統一テストの直ぐ後の日曜日になります。統一テスト対策と模試対策は基本的に同じなので授業を進める上では問題ありません。しかし、生徒の皆さんの負担を考えて、11月の模試はパスすることを考えています。統一テストがあるので、彼らの成績推移を把握する点で問題はありません。模試をパスした日曜日には3月の公立高校入試までの長期計画を立てるよう指示するつもりです。


(2019年10月17日) 【おかげさまで21周年です】 [▲ 先頭へ]

大学時代、「大谷は学校の先生に向いている」と言われました。北アルプスを歩いたり喫茶店や雀荘で過ごしたりして一緒にいる時間が長かった仲の良い友人の言葉です。

政治家という淡い夢を抱いて入った大学でしたが、法学部の授業は面白くありませんでした。法学部では実社会とのつながりの強い独占禁止法の講義だけに興味を持ちました。そのためよく他の学部の講義に出席しました。経済学部のコンピュータ・プログラミングの講座や工学部の都市交通計画や国土計画の講座が面白かったです。工学部の講座で単位を取った法学部生は非常に珍しかったです。

大学卒業後は日産自動車に就職して法規部に配属され、その後輸出部門、海外広報部門で働きました。今、世間を騒がせてイメージが悪くなってしまった会社ですが、社会人としての基本を身につけることができ、法律やマーケティングの実務を経験することができたので感謝しています。その後、外車の輸入元や貿易商社などを経て21年前にサミット・ゼミを始めました。今日、10月17日が開校記念日です。

1年前の10月18日付け本欄「おかげさまで20周年です」でご紹介した通り、サミット・ゼミを始めたのは実家の和風ペンション近くの仲の良い毒舌お姉さんの一言がきっかけでした。ひょんなことから開校して21年間、中高生の皆さんと一緒に勉強してきました。彼らが伸びていく姿を見守るのは本当に感動的です。また、大学生、社会人になった元生徒さん達との交流は自分の楽しみ、喜びになっています。

大学時代、上述とは別の友人にはお節介と言われました。お節介は他人への干渉のし過ぎになると問題ですが、この性格は生徒の皆さんと接する上で上手く作用しているように思えます。大学時代の友人達の言葉は今の私を暗示していたようです。

約20年間のビジネスマン経験は決して無駄ではありませんでした。勉強の重要性を話す際の説得力につながっています。その経験そして21年間積み重ねてきたゼミの経験を基に、縁あって出会えた中高生の皆さんを精一杯サポートし続けるつもりです。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。


(2019年10月10日) 【難しかった模試の数学】 [▲ 先頭へ]

先週後半、9/22に行われた第3回石川県総合模試の結果が届きました。5教科合計の平均点は231.5点、5教科それぞれの平均点は全て50点を下回りました。公立高校入試の平均点は5年前と6年前に239点が続き、その後はやや易しくなり今春の入試では266点でした。石川県の高校入試は難しいと言われます。そのため模試も難しくなる傾向があります。しかし、今回は難しすぎたという印象があります。特に、数学は平均点が40.4点でした。

石川県総合模試は日曜日に行われ、団体受験している学習塾には翌月曜日に問題と解答が宅配されます。私はすぐに英語と数学の問題を解きます。英語の平均点49.5点はほぼ予想通りでした。数学は難しいと感じましたが、40.4点まで下がるとは予想できませんでした。

今回の数学では第2問から第4問まで難しい問題が続きました。第2問は説明問題で、連続する2つの奇数の2乗の差が8の倍数になることの説明でした。中2の1学期に学ぶ内容で、このような説明を苦手にする人が数多くいます。第3問は1次関数の問題でした。設問文が長くて複雑な問題だったので、問われていることを理解するのに時間がかかったかもしれません。第4問は連立方程式の応用問題でした。素直な設問ではなくヒネリが加えられていたので難度が増しました。

第6問の三角形の合同の証明は非常に簡単で、第7問の空間図形の問題も難しくはありませんでした。出題者は後半の問題を易しくして全体のバランスを取ったのでしょうが、受験生は1次関数の問題と連立方程式の応用問題に時間を取られてあせってしまったと思われます。第2問の説明問題が苦手でパニックに陥った人もいたでしょう。

入試において数学は思わぬ失敗をしてしまう可能性がある怖い科目です。生徒の皆さんには目標点を確保しようと話しています。高校入試の数学の平均点は50点前後です。想定平均点を50点として志望校に合わせて何点取るかを目標にします。問題を解いていて全体的に易しいと思えば目標点を上げ、難しいと思えば下げます。1ヶ月後には統一テストがありますから、目標点をしっかり確保する練習を積み重ねるつもりです。


(2019年10月 3日) 【出題者の立場】 [▲ 先頭へ]

先週の本欄でご紹介した受験参考書「新釈 現代文」には、大学入試問題の出題者の立場を理解するという受験生にとって参考になる指摘もありました。

高田瑞穂先生は「諸君は出題者の立場を考えたことがありますか。」と問いかけ、出題者の立場を制約する3つの条件を挙げました。受験生の判断力と知識とを判定する必要に迫られていること、その必要を高校卒業程度という特定のグレードに立って果さなくてはならないこと、その必要を限られた短い期間内において果さなければならないことの3つです。

設問を再読、三読し、出題者が、どんなに苦心しているかを、設問の仕方の中に読み取る余裕を持つことができれば、答案はおのずから設問のまとに当たり、簡明正確なものとなるにちがいありませんと述べられています。また、分秒をおしんで、つかれた目で答案を読み続ける出題者を思い浮かべたら、読みにくい文字は書けないはずではありませんかとも語られます。

これらは現代文には限らず、他の科目の入試問題にも通じるものです。問題を解いていて出題者の意図を読み取ることができれば正答率は格段に上がるはずです。数学のセンター試験では問題の流れ、誘導にのることが必要ですが、この誘導形式は正に出題者の意図の読み取りだと言えます。

ある超難関大学に合格した生徒さんは、2次試験に込められた大学のメッセージを意識することが重要である、大学はそのメッセージに基づいて採点基準を設けるからと話していました。受動的に問題を解く場合は出題者の意図を読み取る余裕はありませんが、それを意識しようとする姿勢で問題に取り組むことができれば正答率を高めることができます。


(2019年 9月26日) 【新釈 現代文】 [▲ 先頭へ]

現代国語に対する曖昧さを解消してくれた受験参考書に再会しました。私は学生時代、答えが1つだけとは思えない国語が苦手でした。浪人時代に河合塾のある先生が紹介して下さったのが「新釈 現代文」という本でした。その本のおかげで現代文がよくわかるようになりました。著者の成城大学名誉教授、故高田瑞穂先生は現代文の恩人です。

中高生の皆さんに対する現代文のアドバイスは「新釈 現代文」で学んだことがベースになっています。より的確なアドバイスにするためにその本を探しました。しかし、新塔社から1960年に刊行された後20年余り現代国語の受験参考書としてベストセラーになったものの1986年に絶版になっていました。復刊を望む声があるとネット上で確認していましたが、2009年に筑摩書房から復刊されたようです。東京・新宿の紀伊國屋書店で定員さんに聞いて購入しました。

本の内容をA4用紙2枚にまとめたところです。さらに要点を絞って1枚にまとめ直した上で高校クラスの皆さんに渡すつもりです。今まで本のエッセンスを記憶に基づいて口頭でアドバイスしていましたが、肉付けをした形でプリントにするので、とても効果的なアドバイス資料になると期待しています。

「青春時代は人間的教養を身につけなくてはならない時期」とする高田先生は、「筆者の関心する問題について、読者もまた相応の関心を持つことができるかどうか」が現代文読解のためにどうしても欠くことのできない前提と述べています。さらに、「現代文がわからないという場合の多くは、実はあなたがたの(先生は受験生に語りかけるように執筆されています。)問題意識が極めて希薄であるか、または全然欠如していることの告白である」と断言されています。耳が痛い生徒諸君がいるかもしれません。


(2019年 9月19日) 【試行調査・数学】 [▲ 先頭へ]

先月8日付け本欄「共通テスト・試行調査」で述べた通り、昨年11月の試行調査・数学の問題を解いてみました。再来年から始まる大学入試共通テストのトライアル問題です。

数ⅠA、数ⅡBとも非常に難しいと感じました。センター試験の平均点は数ⅠAが大体60点(今年59.68点)、数ⅡBが50点プラスα(今年53.21点)ですから、難しさは同じ程度だろうと思っていたので、実際に解いてみてビックリでした。調べてみると、施行調査の数ⅠAの平均点は、記述式以外の85点満点で25.61点、記述式3問の平均正答率は6.7%で、数ⅡBは36.06点が平均点でした。

センター試験では正答率が60%になるよう作問されています。昨年11月の試行調査では5割程度の平均得点率を狙ったそうです。数学の結果は大学入試センター側の狙いから大きく外れました。センター試験の問題を実際に解いている人なら、試行調査の問題を解いて平均点が50点を大きく下回るのは容易にわかるはずです。

難度は別として、問題を解いていて出題者の意図を感じることができました。新しい大学入試では思考力・判断力・表現力を測ろうとしていますが、特に思考力が必要な問題が多かったです。落ち着いて深く考えなければ解けない問題がたくさんありました。判断力や読解力の必要性を感じた問題もありました。しかし、表現力については疑問に思いました。数ⅠAの記述式問題は表現力を測ろうとしているのでしょうが、試行調査の小問3問で表現力が測れるとは思えません。そもそも記述式の2次試験ではない共通テストの数学で何故記述式問題が必要なのか理解に苦しみます。

共通テストは現高2生からが受験します。その高2クラスで数学クラスを来月から始めます。今回、試行調査の数学の問題を解いたことはとても良い経験になりました。問題を解く過程で感じた大学入試センターの狙い、意図を踏まえて授業を進めるつもりです。

なお、先月解いてみた試行調査・英語(筆記)の平均点は51.25点でした。精読だけではなく速読練習も重視している高2英語クラスの皆さんにとってはチャンスと言えそうです。英語の共通テストで高得点を狙います。


(2019年 9月12日) 【夏休み後の中2クラス】 [▲ 先頭へ]

今年度の中2クラスは夏休み開始と共に開講しました。夏休み中は8月末の実力テストに向けて、英語、数学とも2年生1学期分野を中心に既習分野を復習しました。彼らの実力テストの結果は私の授業に対する通知表とも言えます。その通知表の結果は期待していたほどではなく、基礎をもっと固めなければならないと思いました。

次のテストである中間テストまで少し時間の余裕があるので、夏休み後の英語の授業ではbe動詞、一般動詞の復習という1年生分野の復習をしています。2年生では不定詞、助動詞、接続詞などの分野を次々に学びますが、それらの土台として既習分野の基礎固めは非常に重要です。現在形、過去形のbe動詞、一般動詞、進行形を完璧にする必要があります。He was not play tennis yesterday. というような文を書いて欲しくありません。

以前、2学期中間テスト終了後にもbe動詞、一般動詞の復習をしようとしたら「またですか~」というクレームの声があがりました。その時の中2クラスは5月に開講していましたから、中2諸君にとっては4回目の基礎の復習でした。私も、ちょっとしつこいかな、と思いましたが敢えて復習しました。彼らとは高校クラスでも一緒に勉強しました。英語力は当然のように伸びました。現在社会人1年生の彼らの中にはTOEICが800点超えの人もいます。

数学は中間テスト範囲になる1次関数の問題を解いています。1次関数は中学の数学において非常に大切な分野の一つです。中3生が受ける夏から秋の模試では必ず出題されます。1次関数の問題を解く前提として連立方程式の計算があります。その点において中2クラスの皆さんは問題ありませんので、今は1次関数の問題に慣れてもらっています。今後は思考力が必要な問題でしっかり考えることが課題です。

8月末の各中学の実力テスト結果に基づく私の通知表はイマイチでした。次の通知表を絶対に良くしたいと思っています。


(2019年 9月 5日) 【共通テスト、将来の英語力への懸念】 [▲ 先頭へ]

ずっと気になっていることがあります。それは今の高2生からが受験する大学入学共通テストの英語の筆記試験から発音・アクセント、文法語法の問題がなくなることです。先月8日付け本欄「共通テスト 試行調査」で述べた通り、共通テストは読解問題だけになってしまいます。

新しい入試では、読む・聞く・書く・話すという英語の4技能を総合的に測ろうとしています。従来のテストにはなかった「話す」を測ろうとしているのに、何故、発音・アクセント問題をなくしてしまうのでしょうか。今でも発音・アクセントに注意している高校生は少ないと思います。共通テストから出題されなくなれば、ますます発音・アクセントを気にしなくなるはずです。一般的に日本人は英語を話すことが下手だと言われますが、話す英語のレベルがさらに下がってしまいます。

共通テストから文法語法問題がなくなる影響を考えると怖くなります。大学入試で文法が出題されないのであれば、文法を真面目に勉強する高校生は減るでしょう。しかし、当然のことながら、高度な英文読解そして英作文のためには英文法は必須です。文法は2次試験の英語の問題を解くための当然の前提です。

英語の4技能を測ろうとする新しい入試の目的は、おそらく日本人の英語でのコミュニケーション能力を高めるということでしょう。しかし、発音・アクセント、文法を気にしないコミュニケーションとはせいぜい挨拶やショッピングで使える程度ということです。国際ビジネスや研究開発の現場で要求される英語のレベルとはかなりの開きがあります。

大学入試センターは、「話す」の基本である発音・アクセント問題、そして「書く」の条件である文法語法問題をなくそうとしています。自己矛盾でしかないと思います。2次試験を目指す高校生は文法をしっかり勉強するはずですから、今後、日本人の間で英語力の格差が広がっていくと考えられます。

因みに、私は高校時代にNHKラジオ講座で発音・アクセントを学びました。発音が良いことは国際ビジネスの仕事に好影響をもたらしました。また、英文法のマスターがTOEICの得点アップに直結しました。自分自身の経験から大学入試における英語問題の改悪に強い懸念を持っています。将来の日本人の英語力は大丈夫なのでしょうか。


(2019年 8月29日) 【打倒奥川のスローガン】 [▲ 先頭へ]

夏の甲子園大会決勝で地元の星稜高校が惜しくも負けてしまいました。文武両道の星稜高校は大好きな高校で、私も応援していました。現在同校に通っている生徒さんもいて、甲子園で勝ち進む度に「おめでとう」メッセージを送っていました。決勝戦7回裏3-3の同点に追いついた時は逆転優勝を信じましたが残念な結果に終わりました。甲子園を沸かせた星稜の活躍は本当に素晴らしかったです。

決勝戦の前後に報道された様々な情報を見ていて、優勝した履正社の「打倒奥川」という執念を感じました。同点になった直後の8回表の同校の4点目は奥川投手の151kmのストレート、5点目は148kmのストレートを打ったものでした。高校離れした速球を打てたのは、打倒奥川で取り組んできた練習の賜物だったと思います。

履正社は今年3/23の春の選抜大会1回戦で奥川投手に3安打17三振、0-3で負けました。決勝戦の3回に3点ホームランを打った4番の井上選手は選抜大会の時は4打数ノーヒット2三振でした。履正社では、その敗戦がきっかけになり「打倒奥川」がチームのスローガンになりました。160kmの打撃マシンや変化球マシンを使って練習したそうです。6月の練習試合では奥川投手に6回9三振で押さえられ3-4で負けています。履正社の執念は一層増したことでしょう。

履正社の執念、強い思いを想像して胸が熱くなりました。何かを達成するためには、それを成し遂げようとする熱い思いがなければならないということを改めて教えられました。必死になって頑張れば必ず目標が達成される訳ではありませんが、熱い思い、強い気持ちは目標達成に不可欠な条件です。

大学入試で結果を出した生徒さん達を思い出しました。彼らに共通するのは、合格するぞ、という強い気持ちでした。触れれば切れるような凄まじい集中力で授業に臨んでいた生徒さんも少なからずいました。勉強に厳しい私が、そこまで細かく考える必要はないという指示をした生徒さんもいました。目標を達成しようとする彼らの姿勢は、打倒奥川に燃えた履正社の選手諸君の気持ちと共通するものがあると思います。


(2019年 8月22日) 【しくじりノート その2】 [▲ 先頭へ]

「しくじり先生 俺みたいになるな!!」という番組があります。5年前に始まったテレビ朝日系列の番組で、2年前にレギュラー放送は終了しましたが、今春から月曜日深夜に再開されています。人生を盛大にしくじった芸能人などの先生から「しくじりの回避法」を学ぼうとする番組で、日曜日に放送されていた時はよく見ていました。先生の本音が聞ける面白い番組です。しくじりの回避法は参考になります。

以前レギュラー放送されていた頃から中3の皆さんに「しくじりノート」を作ることを勧めています。英語や数学、特に数学の50分総合問題を解いた時の失敗、教訓をノートに書き込みます。中3クラスでは模擬試験前は過去問練習をします。その時のミスや教訓をまとめれば、かなり有効なノートが出来上がるはずです。私は教室での失敗は全然構わないと話しています。それを次に活かせば良いからです。

中3の皆さんは塾用のノートを作っています。英語の重要事項、数学の覚えておくべき問題を書き込んでもらっていますが、そのノートにしくじった事を書き込みます。しくじった事だけを書けば気持ちが凹んでしまうかもしれないので、良かった点も追加しようと指示しています。

次の日曜日(8/25)に石川県総合模試が予定されています。中3クラスの夏期講習も終盤に入り、英語と数学は総合問題として模試過去問練習を実施しています。失敗し易いのは数学です。1番の簡単な問題でのケアレスミス、全体的な時間配分のミスが目につきます。克服法は必ずありますから、それをまとめて次に活かすことを繰り返せば、模試、統一テストそして入試を上手く乗り越えられるでしょう。


(2019年 8月15日) 【英文速読開始 in 2019】 [▲ 先頭へ]

中3クラスでは先週末から英文の速読練習を始めました。速読の練習を始める背景には二つの要素があります。1つは公立高校入試の英語が難しくなってきていることで、もう1つは大学入学共通テストを視野の遠くに見据えていることです。毎年夏期講習後半に練習を始めますが、今年は例年より早く始めました。速読の重要性が増しているからです。

最近の高校入試問題には幾つかの傾向が見られます。問題文が長くなっていること、英作文が多くなっていること、そして英文資料や図に関する問題になっていることが挙げられます。英文資料に関する問題で英文量が多くなれば、英作文の内容を考える時間はなくなります。速読ができれば余裕を持って英作文を考えることができて得点アップが期待できます。

前回の本欄「共通テスト・試行調査」で共通テスト・筆記試験では速読力が必要だと述べました。80分で10問の大量の英文を読むには速読力は不可欠です。従来のセンター試験でも速読が必要でしたが、共通テストではより重要になります。近い将来の目標を見据えて中3から練習を重ねれば十分な力がつくはずです。

因みに、現高2クラスの皆さんの多くは中2の時から通ってくれています。彼らの時は中3の夏休み後半から速読練習を始めました。高校入試の時点でかなり速読ができるようになっていました。今では英文を読んで、その内容が頭の中で映像になるようになってきました。このレベルまで至れば、共通テストの大量の英文でも慌てることなく適切に処理できるはずです。

英文速読の前提は文法と単語です。文法が甘ければ英文構造がわかりませんから英文の内容を理解することはできません。文法をマスターしていれば複雑な英文でも即座に内容を理解できます。単語力は当然の要素です。中学では単語で困る人はあまりいませんが、大学入試を目指した速読の場合単語力に左右されてしまいます。

中3クラスの速読練習は今後少しずつ実施します。来年1月の統一テストの頃にはかなりの程度できるようになり、3月の公立高校入試の時点で問題なくできるようになっていることが目標です。そして、これが彼らの大学入試につながっていくはずです。


(2019年 8月 8日) 【共通テスト・試行調査】 [▲ 先頭へ]

高3生が受けるセンター試験は来年1月18・19日です。それが最後のセンター試験で、今の高2生からは大学入学共通テストを受験することになっています。最初の共通テストの日程は2021年1月16・17日と既に決まっています。最初の共通テストまで1年5ヶ月余りあるとは言え、高2クラス(英語)の授業内容を見直さなければなりません。

大学毎の2次試験の内容は基本的には変わらないはずですから、2次試験対策の授業内容、すなわち長文読解、課題英作文、自由英作文練習については従来通りで良さそうです。問題は共通テスト対策です。昨年11月10・11日に試行調査が行われ、新聞に問題が掲載されました。しかし、新聞に掲載されたのは問題のごく一部でしたから、大学入試センターのホームページから英語筆記(リーディング)の問題全てをプリントアウトして実際に解いてみました。因みに、制限時間は80分で現行のセンター試験と変わりません。また、両者ともマーク式問題です。

第1問から第6問まで、ALTの先生からのメモ、料理のレシピ、新聞記事と読者のコメント、交換留学生のブログ、環境問題に関する説明文など様々な種類の問題が並んでいました。センター試験の問題形式から大きく変わるのではないかと心配していましたが、試行調査の問題はセンター試験の第4問、第5問、第6問と似た形式であることが分かりました。従来のセンター試験対策の授業で十分対応できることが分かり安心しました。

共通テスト(試行調査)とセンター試験の大きな違いは、センター試験で出題されていた発音・アクセント、文法・語法、並び替え問題が試行調査ではなくなったことです。センター試験第4問から第6問までのような読解問題が試行調査では第1問から第6問まで並んでいます(実際の問題は10問)。出題されている英文の種類が異なるとはいえ、読解問題を80分続けて解かなければなりません。

共通テスト・英語筆記試験でカギとなるのは速読力と集中力だと感じました。現行のセンター試験でも速読は大きなポイントでしたが、その重要性が高まります。速読ができなければ80分で10問の大量の英文を読むことは不可能です。また、80分続けて読解問題を解くには集中力の継続が必要です。これは結構大変です。試行調査の問題を解いていて途中で英文を読むのが嫌になりました。

共通テスト・英語筆記試験の対策の目処が付きましたから、次はリスニング試験の試行調査の問題を調べるつもりです。さらに、数学、国語の試行調査問題も分析しようと考えています。高2クラスの生徒の皆さんを万全の態勢でバックアップするつもりです。


(2019年 8月 1日) 【吹奏楽コンクール】 [▲ 先頭へ]

先週土曜日(7/27)に石川県吹奏楽コンクールがありました。ブラスバンド部に入っている中3の教え子の演奏を聴きに行ってきました。私は自分では楽器を演奏できませんが、音楽は大好きで自宅や車の中でよくクラシックを聞いています。

大編成の演奏は圧巻でした。大編成の迫力、演奏のハーモニーを十分楽しむことができました。演奏を聴いている時、コンクールに向けて各メンバーがどれだけの努力を積み重ねてきたのかを想像しました。各パートをそれぞれ練習し、そして全員が一緒に練習することを何回も何回も繰り返してきたことでしょう。コンクールでの演奏を終えた時は大きな達成感があったと思います。

会場からの帰り道、私自身の中学での部活動を思い出しました。私は剣道部でした。大会の団体戦で優勝候補の中学と対戦しました。2勝2敗で迎えた大将戦が大熱戦で、仲間と一緒に私たちの大将を応援しました。結果は負けてしまいましたが、優勝した中学と接戦をすることができた満足感、仲間と共に戦った連帯感を今でも覚えています。

ある目標を目指して仲間と一緒に頑張るのは素晴らしいことだと改めて感じました。社会に出ると一般的には組織で活動します。一人一人の努力と組織としてのまとまりが重要です。会社組織がある目標に向けて結束すればかなりの成果を上げることができます。誇張かもしれませんが、中高時代の部活動の経験が社会人の組織活動に活きるのではないかと思います。


(2019年 7月25日) 【中2クラス開講 in 2019】 [▲ 先頭へ]

今週月曜日(7/22)に中2クラスが開講しました。今年度は、春の段階で予約のあった3名の生徒さんでのスタートです。生徒さん、ご父兄の皆さんのサミット・ゼミに対する気持ちをしっかりと受けとめて頑張ろうと思っています。私は「人生意気に感ず」という言葉が大好きです。信頼を裏切ることは絶対にできません。

月曜日は3人の生徒さんだけではなく私も緊張していましたが、無難に授業をこなしました。数学のプリントチェックの際に個別に少し話し合えたのが良かったです。サミット・ゼミは6名までの少人数制なので、メンバーによってクラス内の雰囲気が少し変わってきます。今年度の中2クラスも明るい雰囲気の中で良い意味の緊張感を持って勉強できるような環境になると思います。

最初に幾つかのことを確認しました。先ずは、学校の授業をしっかり聞いて、テスト前はきっちりテスト勉強するという勉強の基本です。これは中2で身につけるべき最重要事項です。次に、覚えるべきことは覚え、考えることを実践しようと話しました。中1までは思考力を要する分野はそれほど多くはありませんでしたが、中2では今後、1次関数、三角形の合同の証明という深く考えることが要求される分野が出てきます。

授業では先ず、英語、数学とも1年生分野の総復習をしています。その後は2年生の1学期で学んだ分野を復習します。また、国語の200字作文も時々練習するつもりです。各中学では練習をしていないとのことでしたが、高校入試では作文が出題されます。今の段階から練習を始めれば心配は全く要りません。

昨年度の中2クラスは今年と同じ時期にスタートしました。一年が過ぎ、今では安定した授業運営になっています。生徒の皆さんの頑張りのおかげで、私が理想とする楽しく厳しい授業ができていると思っています。今年度の中2クラスが今年度独自の個性のある素晴らしいクラスになるよう努力していくつもりです。


(2019年 7月18日) 【高3生・個別面談】 [▲ 先頭へ]

今日は7月18日です。来年のセンター試験は1月18・19日ですから、丁度半年になりました。高3生は毎月模試を受けていますが、先月受けた高3初のマーク式模試結果が戻ってきましたので、5月に受けた記述式模試結果も併せて個別に面談しました。授業とは別に時間を取って一人30分間話しました。中には1時間になった人もいました。センター試験まで半年というタイミングで密度の濃い話し合いをしたつもりです。

先ずは志望校の確認です。受験勉強は志望校を決めることから始まると言っても良いくらい、目標の設定は重要です。どれだけ強く志望校に合格したいと思っているか、この情熱が受験勉強を支えます。ただし、高い目標を設定した場合、なかなかA判定やB判定はつきません。いわゆるボーダーラインであるC判定であれば立派だと言えます。判定に関しては、D判定やE判定に凹まないことが非常に重要です。凹んでいる時間があれば英単語の一つも覚えるべきです。D判定でも十分チャンスがありますし、E判定であってもDに近いEであればあきらめる必要はありません。

次のポイントは勉強法です。受験科目、特に成績が伸びていない科目の勉強法について確認しました。正しい勉強法でなければ効果は薄くなります。学校の授業内容を確認しながら、不足しているものについてアドバイスしました。私のこれまでの経験や教室に置いてある勉強法の本に基づいてアドバイスしましたが、必要があれば自ら大きな本屋さんで調べるべきです。

絶対に合格するぞという強い気持ちを持ち、正しい勉強法で努力を継続すれば必ず学力は伸びます。努力を継続するという点においては自分の気持ちをコントロールすることが重要です。ついついマイナスイメージを持ってしまいますから、不安感が心を襲わないように工夫しなければなりません。無駄なことを考えてしまう時間的な隙間を作らないことが大切だと思います。

センター試験前日のことを考えると怖くなると話した生徒さんがいました。気持ちは分かります。しかし、2次試験出願大学をどこにするかはセンター試験の結果を受けて考えます。今はアレコレ考えても仕方がありません。2週間前の本欄で「根拠のある強気」について述べました。この勉強法と努力に裏付けられた強い気持ちを持ち続けて半年後のセンター試験を迎えて欲しいです。


(2019年 7月11日) 【TOEIC参加取りやめ】 [▲ 先頭へ]

先週火曜日(7/2)、大学入学共通テストに関して大きな発表がありました。認定されていた7団体8種類の試験の一つである英語能力テスト「TOEIC」が参加を取りやめると発表しました。TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会は、参加決定後に大学入試センターから示された要望に対応できないと判断したそうです。

「やっぱり」というのが私の第一印象です。TOEICは主としてビジネスマンを対象にした英語検定試験ですから、大学入学共通テストに使われることに大きな違和感がありました。TOEIC以外の参加を表明しているテストを見ると、実用英語技能検定(英検)やGTECは高校生に馴染みがありますが、海外の大学に留学する時に必要なTOEFLが共通テストに使われることにも違和感があります。それら以外では、ケンブリッジ英語検定は名前を聞いたことがあるくらいで、IELTSやTEAPは知りませんでした。(IELTSについては、7/10付けの日本経済新聞がILETSと誤記表示していました。失礼な言い方ですが、その程度の認知度ということです。)

7/3付け日経新聞の大見出しは「大学共通テスト 制度設計に甘さ」、小見出しは「民間活用 拙速さ露呈」でした。正に制度設計に甘さがあったと思います。現在のリスニング試験は筆記試験に加えて2006年に導入されました。外部試験ではなくて大学入試センターが作成しています。大学入学共通テスト導入までかなりの長さの準備期間がありましたから、何故、「書く」「話す」試験を外部に任せるのではなく、大学入試センターが独自に作成しなかったのでしょうか。

民間試験導入を巡っては、語学が専門の大学教授らが先月、中止を求めて請願書を衆参両院に提出しました。「各試験の測ろうとする英語力は異なる。目的が違う試験同士を比べるのは妥当でない。」と主張しています。同感です!

大学側の対応については、6/13付け本欄「大学入学共通テスト」で、金沢大学は民間試験結果を出願の要件にすると述べました。文部科学省の調査では5月時点で、国立大学82校のうち、35校が金沢大学のように出願の条件にして合否判定には使いません。東北大学など3校は受験機会の公平性への懸念が強いとして一切使いません。

国際ビジネスコミュニケーション協会はTOEIC参加取りやめに関して、教育現場や社会に及ぼす影響を考慮して苦渋の決断をしたと推察します。しかし、その判断は誠実だと思います。大学入試センターは「影響は限定的だろう」としているそうです。無責任なコメントです。前述の通り、「聞く」試験はオリジナルで作成したのに「書く」「話す」試験を自ら作成しないのは責任放棄だと言えば言い過ぎでしょうか。


(2019年 7月 4日) 【根拠のある強気】 [▲ 先頭へ]

テニスのウィンブルドン選手権が始まりました。1回戦の錦織圭選手は快勝でした。テニスは私も大好きで時々楽しんでいます。相手は21年前に学習塾を始めた時の生徒さん第1号です。当時中1だった彼は今では高校の先生をしています。日曜日の午前中、ランチを賭けてシングルス6ゲーム1セットの試合をします。最近は分が悪いのですが、結構良いゲームになります。私の課題は、ゲーム前の練習では問題ないのにゲームに入ると緊張して良いボールを打てなくなることです。

高3の皆さんは毎月模試を受けています。ゴールデンウィークに受けた模試の結果が戻ってきた時に話し合いました。高いレベルの大学を志望しているある生徒さんは浮かない表情をしていました。凹んでる?との問いに「はい」と答えました。高3生が受ける模試は浪人生も受けていますし、ましてや難関大学であればそう簡単にA判定やB判定はつきません。凹んでいたら前に進むことはできません。

何としてでもこの大学に合格するという情熱、正しい勉強法、努力、これら3つは学力を伸ばす条件です。最も大切な条件は情熱です。大きなプレッシャーの中にいる受験生諸君は、成績が思うように伸びない、センターで失敗したらどうしよう等と不安感に襲われがちです。自分の気持ちをコントロールすることが非常に重要です。不安の状況に陥ることなく強気の姿勢を持ち続けることができれば凹むことはなくなります。仮に模試結果が悪くても、自分の弱点を教えてもらったと思えば良いのです。

もうすぐ、先月の総体・総文の1週間後に受けた石川県の共通模試であるマーク式模試結果が戻ってきます。5月の模試結果と併せて、高3の皆さんとじっくりと個別反省会をする予定です。6ヶ月と2週間後の大学入試を見据えて、各科目の勉強法だけではなく気持ちの持ち方についても話すつもりです。キーワードは「根拠のある強気」です。勉強法と努力に裏付けられた強い気持ちという意味です。

私のテニスの場合は、練習を積んでいるわけではありませんから根拠のある強気にはなれません。しかし、ミスしたらどうしようという弱気虫を抑えて思い切ってラケツトを振ろうと思っています。