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塾長からの一言

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目標点を確保する

中3生が受ける模試がいよいよ今週末(7/2)から始まります。来年3/6, 3/7の公立高校入試に向けて7月から来年2月まで毎月模試があります。中3の高校受験生が毎月模試を受けるのは多過ぎるように感じますが、とにかく今年も信頼性が高い石川県総合模試を団体受験します。どの高校に合格できるかは各中学の学年順位が1つの目安になりますが、学年全体のレベルは年によって変動することに注意が必要です。模試では県全体における成績レベルが客観的に分かりますから、合格可能性のデータはかなり信頼できます。

先日の授業の際、受験票を渡しました。初めての模試ですから皆さん緊張しているようです。今月8日付け本欄で述べた通り、中3の皆さんは今週から来週にかけて期末テスト、模試、実力テストが続いています。テストが続く中での初めての模試ですから精神的に結構キツイと思います。

当然のことながら、模試では実力が出るものです。ただし、数学は要注意です。実力があっても数学は失敗することがあるからです。前半のある問題で考え過ぎて時間がなくなり焦ってしまうと、計算ミスにつながり、本来解ける問題も解けなくなります。時々見かける現象です。

このリスクに対して、中3の皆さんには目標点を確保するように話しています。志望校毎に、この点数を取れれば大丈夫という目安があります。例えば、泉丘高校が志望校の場合、平均点が50点として80点取れればgoodです。75点がまあまあで、70点が確保すべき点数になります。70点ということは30点落としても良いことになります。1/3近くミスっても良いと思えれば、精神的にかなり楽になるはずです。

このように考えれば気持ちの余裕を持って数学の問題に臨めるはずですが、現実はそう簡単ではありません。そのために幾つかのテクニック的なアドバイスをしています。目標点を確保する意識を持って50分の総合問題練習を積み重ねることによって確実性が高くなっていきます。数学は怖いというメンタル的な要素があるので、彼らの気持ちを楽にするために、小さなミスは大丈夫と言っています。

どこまで言うか

高校クラスの皆さんとは全国模試の結果が戻ってきた時に、授業とは別に時間を取って、個別に30分ほど面談します。勉強法や進路についてじっくり話し合います。彼らの勉強に対するモチベーションに直結する大切な時間です。生徒の皆さんの自発性を高めて可能性を引き出そうとします。高1生、高2生との面談では特に問題はありませんが、高3生の場合、どこまで強く言うべきなのか、悩むことがあります。

過去の例ですが、11月にある高3生と面談しました。難関大学を目指すA君です。A君はその大学を高2になる頃から目指していました。それなりに勉強していましたが、合格水準には達しない状況がずっと続いていました。志望校を確認すると、その大学を答えました。センター試験(共通テスト)まで2ヶ月のタイミングでしたから、強く言わなければならないと思いました。言葉を選びながら、その大学に合格するための努力ができていないことを指摘しました。

A君の目に涙が浮かびました。頑張っていると思っているのに、私から厳しい言葉を聞いたからです。状況を分析してどうするべきか考えるように言って面談が終わり、彼は教室を出ました。私の心は重く苦しくなりました。彼が志望校に合格するためには強く言わなければならなかったにしても、涙を見ると、言い過ぎだったかもしれないと複雑な気持ちになります。

その日深夜に彼からLINEが入りました。自分では頑張っているつもりだったものの、甘さがあったという反省の内容でした。目標をしっかり持ち、それに見合う努力をしたいとのことでした。LINEの最後には、面談ありがとうございました、と書いてありました。そのような連絡が入るとは思っていませんでしたから、驚くと同時にとても嬉しかったです。

結果的にA君は、当初目指していた大学ではないものの十分満足できる大学に合格しました。合格発表直後に、震える声で合格を報告する電話をくれました。どこまで強く言うかは難しい判断ですが、厳しい言葉を言えるような人間関係を日ごろから築いておくことが非常に重要だと考えています。

中2の1学期、中間テスト英語

先月末の中間テストで、2年生の英語の学年平均点が47点だった中学があります。1学期の中間テストは一年で一番易しいテストという印象がありますが、2021年度から教科書が新しくなり、英語においては状況が変わりました。特に、金沢市立の中学校が採用しているNew Horizon 2は最初の単元(Unit 1)が難しいです。

Unit 1では先ず、be going to とwillの未来形を習います。問題はその後に習う2つの構文です。基本文は”I will show you the Merlion.”(私はあなたにマーライオンを見せます。)と”People call it the Singapore Flyer.”(人々はそれをシンガポールフライヤーと呼びます。)です。前者は主語・動詞・目的語・目的語(SVOO)、後者は主語・動詞・目的語・補語(SVOC)の構文です。英語には文型が5つあり、それらは第4文型、第5文型と呼ばれる複雑な構文です。

上記のSVOOとSVOCの構文では、動詞の後ろに2つの言葉が並びます。動詞の後ろに2つの言葉が並ぶこと自体が複雑ですし、それら2つの違いをきっちり理解することは易しくありません。さらに、学年平均点が低かった中学の試験範囲にはUnit 2の一部も含まれていました。この単元ではwhenやifの接続詞を習います。接続詞も最初は理解し辛いので、平均点を下げた要因だと思います。

New Horizon 2の教科書には文法のまとめのページがあり、「5つの文構造」というタイトルで5文型を説明しています。初めてそのページを見た時にちょっと驚きました。主語、動詞、目的語、補語をそれぞれS, V, O, Cと表しています。文法の説明としては当然の用語ですが、中2生にとっては難しいと思います。果たして学校の先生方はSVOCという用語を使っているでしょうか。英語の授業が分かりづらくなるかもしれません。

因みに、サミット・ゼミでは、新しい教科書に替わったことを受けて中2からSVOCという用語を使っています。当然のことながら、最初は生徒の皆さんは戸惑います。それでも繰り返し使うことによりだんだん慣れていきます。中3の最初に5文型をしっかり説明した後は普通にSVOCを使っています。

高校受験生の初夏

中3クラスでは、先月末に行われた中間テストの結果が戻ってきました。答案用紙を見ながら、個別に面談しています。科目間のバランスや志望校について対話します。

高校受験生の彼らは、来週末に部活動の県大会予選があり、その後今月末から来月初めにかけて試練の時を過ごすことになります。期末テスト、模試、実力テストの3つの試験が続くからです。ほぼ一週間の間に3つのテストを受けるのは精神的にも結構辛いと思います。しかも、模試は今年度初めての受験ですからかなり緊張することでしょう。

中間テスト後の授業内容をいろいろ工夫しています。期末テスト対策としての教科書の復習、模試過去問練習、実力テスト対策としての1, 2年分野の復習を上手く組み合わせなければなりません。3つのテストの日程を踏まえて、今月の授業内容の予定を立てました。期末テストの試験範囲によっては修正する必要が出てくるかもしれません。臨機応変に対応します。

中3生は11月末から12月初旬にも期末テスト、実力テストと模試が続きます。高校受験を終えた受験生に聞くと、初冬の3連続テストの時期が一番辛かったという人がいます。ですから、今月末からの3連続テストも高校受験生にとって大きなプレッシャーです。効果的な授業を進めるだけではなく、気持ちが前向きになるような話をして彼らをサポートするつもりです。

AI時代の勉強

AIの時代にはどんな勉強が必要なのでしょか。チャットGPTのような生成AIが様々なことを教えてくれるので知識の暗記は不要になるのでしょうか。

チャットGPTに、人間が生成AIに勝る点を尋ねてみました。経験、感性、社会性などと共に創造性を挙げました。人間は新しいアイデアを考え出し問題を解決することができると回答しました。それに対して、AIは学習したデータに基づいて回答するので新しいアイデアを考え出すのが難しい場合があるとのこと。

大きなポイントの一つはこの創造性だと思います。それでは、人間が創造性を発揮するためにはどうすれば良いのでしょうか。この点については、2002年にノーベル物理学賞を受賞された東京大学特別栄誉教授の小柴昌俊先生の指摘が適切な回答になります。すなわち、知識と考える力の掛け算で人間の能力が決まるということです。

アイデアは真っ白なキャンバスから突然湧き出るものではなく、様々な要素の新しい結びつきからもたらされます。創造力とは情報を組み合わせて問題を解決し、新しい価値を生み出す力です。知識と考える力の掛け算により創造性が発揮され、新たなアイデアが湧くのです。

AI時代にはプログラミングや情報処理のような新たな分野の勉強も必要ですが、勉強の基本は変わらないと思います。これまでと同様、様々な知識を蓄積し、しっかり考えることが必要です。様々な知識がなければ、前々回の本欄でご紹介したチャットGPTのミス(坂本龍馬が長州藩出身という間違い)を見抜くことはできません。AIをツールとして使いこなすために知識を蓄積し、思考力を磨かなければなりません。