塾長からの一言 - サミット・ゼミ | 少人数制の学習塾

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塾長からの一言

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速読の次は

中3クラスの皆さんは冬休み末の今月7日に石川県総合模試を受けました。元日に起きた能登半島地震の影響で採点作業が遅れて、昨日結果が分かりました。冬休み明けの統一テスト結果と共に、公立高校の受験校を決めるための重要情報です。

本欄で何回かご紹介している通り、今年度の中3クラスは英文の速読を強化しました。従来は中3の夏期講習から練習を開始していましたが、約半年早く、中2の3学期期末テスト後から始めました。その成果は昨年の秋頃から出始め、12月や今月の模試前の過去問練習でも速く読めるようになっていました。今回の英語の平均は50.1点でした。中3クラス4人は全員が70点以上(科目別偏差値60以上)で、80点を超えた人もいました。速読練習の開始から10ヶ月間の成果が出たと思います。

石川県の公立高校入試の英語は客観的に難しいと思います。大問は四つで、リスニング、並び替え問題、会話文と長文の構成です。会話文と長文は英語を使った資料や図に関する問題で、両問とも相当の英文量です。リスニングの時間が12分程度であれば良いのですが、15分位に長さになると読解問題の時間が苦しくなり、大幅な平均点の低下をもたらします。

中3クラスの皆さんは速読の技術を身につけて、50分の時間内に余裕を持って長い読解問題を解けるようになりました。速読強化の狙いが当たり、英語に関しては満足できる水準に達したと思っています。しかし、ここまできて次の課題が気になってきました。昨年11月模試の過去問練習をしている頃のことでした。それは英作文です。

入試や模試の大問4の最後が「4文以上のまとまりのある英文」を書く問題で、配点は8点です。大きな配点です。長文問題の内容を受けた自由英作文です。速読のおかげで英作文にある程度の時間をかけることができるようになったとはいえ、制限時間ギリギリに設問の指示を確認した上で4文以上のまとまった内容を考えるのは大変です。時間に追われれば文法ミスやスペルミスは避けられません。

入試は学力コンテストではありませんから、高得点を狙う必要はありません。速読ができるようになり、科目別偏差値で65程度に達すれば十分です。英作文でもしっかり得点しなければならないと思えば、焦って速読が甘くなる危険性があります。英作文の配点8点は「おまけ」と考えれば良いと思います。そう考えれば英語で失敗することはなくなります。一応、生徒の皆さんには「おまけ」対策としての秘策を授けました。なお、彼らの速読の技術は3年後の共通テストに確実につながります。

共通テスト in 2024

大学入学共通テストが先週末(1/13, 14)に実施されました。例年通り、初日の土曜日早朝に尾山神社へ行き生徒の皆さんの健闘を祈願しました。

英語(リーディング)と数学ⅠA、ⅡBの問題を解き終えました。英語は昨年同様、第1問から第6問まで全て読解問題でした。「様々なテクストから概要や要点を把握する力や必要とする情報を読み取る力等を問うことをねらいとする。」という大学入試センターの方針に沿った多様な種類の問題が出題されました。特筆すべきは英文量です。問題文、選択肢を全て含めると約6,300語で昨年よりも200語程度増加しました。80分の試験時間で約6,300語を読みこなすのは本当に大変です。

昨日発表された中間集計による平均点は53.28点でした。昨年の53.81点とほぼ同じです。昨年は最後の論説文が難しかったことをよく覚えています。今年は問題の難しさというより英文量の多さが印象的です。2021年にセンター試験から共通テストに代わって、発音・アクセント、文法・語法問題が出題されなくなりました。共通テストの問題を解く度に、問題のバランスが悪いと思います。

中間集計による数学の平均点は、ⅠAが54.35点、ⅡBが61.03点でした。昨年はそれぞれ55.65点、61.48点でしたから難度は昨年並みでした。ⅠAでは電柱の影の長さと太陽高度に関する問題が出題されていて共通テストらしいと感じました。ⅠAの各問題はそれほど難しいとは感じなかったので平均点54.35点はやや意外です。n進数や動点の問題で慌てた人が多かったのでしょう。

今年の英語と数学の問題を解いてみて、今後の授業方針について考えてみました。基本的には変更ありません。英語のポイントは速読、単語力、問題形式への慣れです。数学のポイントは絶対的計算力、思考力、試験時間の使い方です。今後の高校クラスの授業内容をより進化させるつもりです。また、速読、絶対的計算力、思考力については、従来通り中学クラスの授業でも意識していきます。

人生の意味

「人間の人生は、ほかの人の人生に少しでも意味を与えたときに、初めて意味をもつ。」昨年12月16日付け日本経済新聞のコラム「春秋」で出会った文です。ゴルフのタイガー・ウッズ選手が、黒人初の大リーガーとしてドジャースと契約したジャッキー・ロビンソン選手のことを思って、いつもそのように口にしていたそうです。昨年12月14日(現地時間)、大谷翔平選手がロサンゼルス・ドジャースの入団会見に臨みましたが、その冒頭でジャッキー・ロビンソン選手の名前が挙がったことが「春秋」につながりました。

中高生の皆さんには大きな可能性を秘めた未来があります。彼らが身近に接する大人は多くはいませんから、私が彼らに少なからぬ影響を及ぼすでしょう。いつもそのことを自覚しています。「春秋」の一言はそんな私を激励してくれました。6名までの少人数制のサミット・ゼミで、縁があって通ってくれる生徒の皆さんをしっかり導きたいと思っています。

元プロ野球の野村克也さんの座右の銘は「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とする」でした。これは医師、政治家で関東大震災の復興を担った後藤新平の言葉です。初めてこの言葉を知った時、心の中から湧き上がる情熱を感じました。自分なりに人材を育てたいと思いました。冒頭の言葉に接した時も似たような感慨を持ちました。

私は「指導」という言葉が大嫌いです。上から目線の響きがあるからです。人間は皆平等だと考えています。中高生の皆さんも一人の人間として接しています。勉強を指導するのではなくコーチ、ガイドしているつもりです。英語や数学の勉強、そして様々な私のお話しから生徒の皆さんが成長してくれることを願いながら、これからも授業を進めます。

激動の年?

新年あけましておめでとうございます。

今年2024年は選挙イヤーと呼ばれています。世界では1/13に台湾の総統選、3月にロシア大統領選そして11月にアメリカ大統領選が行われます。お隣の韓国では4月に総選挙があります。国内では9月に自民党の総裁選が行われ、それとの関係で衆議院総選挙の可能性もあります。激動の一年になるかもしれないと思って迎えた新年は凄まじい幕開けでした。

新年早々の元日16:10にマグニチュード7.6の能登半島地震が発生しました。最大震度7を志賀町が記録しました。私はその志賀町にある実家(囲炉裏のある和風ペンション)でお正月を過ごしていました。家全体がグラグラと揺れて、この世の終わりではないかというような恐怖を覚えました。揺れが収まった後は家族で協力して必要な応急処置を施しました。金沢も震度5強の揺れに襲われたので、教室と自宅の状況が心配で予定より早く金沢に戻りました。その1/2の夕刻、羽田空港で日航機が着陸後に炎上しました。さらに、昨日(1/3)午後、北九州市小倉北区で大規模火災が発生しました。

物凄い事件が続いていますが、世間の様々な予定は基本的に通常通りです。来週末には大学入学共通テストが実施されます。中3の皆さんは次の日曜日(1/7)に模試、1/10には公立出願校を決める統一テストを受けます。

近年の大学入試では知識に加えて、思考力、判断力と表現力が求められています。これらの力は入試に合格するために必要なだけではありません。ビジネス社会で活躍するための必須条件でもあります。また、本欄では何回も小柴昌俊・東大特別栄誉教授の教えを紹介してきました。アイデアを創出するためには知識と考える力の掛け算が必要です。

すなわち高校入試や大学入試を目指して勉強することが、社会に出た時の様々な場面において知恵、アイデアを提供することにつながります。どんな状況におかれても何をどうすれば良いかを判断できる人材になることができます。それは地震のような災害時での的確な判断・行動につながると思います。今年も上手く生徒の皆さんを導いていくつもりです。どうぞよろしくお願い申し上げます。