塾長からの一言 - サミット・ゼミ | 少人数制の学習塾

サミット・ゼミ
Summit Seminar

塾長からの一言

Principal's blog
News

久しぶりの秋入学報道

今月8日に金沢地方気象台は金沢のソメイヨシノの満開を宣言しました。丁度その日に当地の高校、中学校そして小学校で入学式が行われました。子供たちの新たな出発を満開の桜が彩る風景は華やかな春の風物詩です。

翌日の地元紙で各校の入学式の記事を読んでいる時に今年2月10日付け日本経済新聞の記事を思い出しました。大阪公立大学が2027年度から秋入学を導入することを伝える記事です。秋入学については2011年7月に東京大学の浜田純一学長が2015年までの全面移行を目指すと発表して大きな波紋を呼びました。世界標準となっている9月入学に合わせることで、グローバル化に対応できる人材を育成することが狙いでした。

大きな議論が沸き上がりましたが、結局は変わりませんでした。その後2020年春に新型コロナウイルス感染拡大により全国で休校措置が取られたことをきっかけに、学業の遅れを取り戻すことを目的にして9月入学を求める声が上がりました。政府も9月入学移行の検討開始を表明して社会的な論争に発展しました。

この時は全国知事会が、教育システム、社会システムを変えるきっかけにすべきと9月入学の導入を提案しました。9月入学に前向きな議論が多かったので、秋入学に変わるかもしれないと感じたものです。しかし、時間をかけた十分な議論が必要だという反対論が根強く見送りになりました。コロナ禍で社会が混沌としていましたから、当時の安倍晋三首相が強いリーダーシップを発揮すれば実現したのではないかと思います。

4年ぶりに「秋入学」についての新聞報道に接しました。大阪公立大学の今後の動きが気になります。大阪府の吉村洋文知事は政策を力強く推進するリーダーですから、実現する可能性は小さくないと思います。9月入学はグローバル化の進展に馴染む制度であり、地盤沈下傾向が続く日本経済にとっては望ましい方向だと思います。満開の桜の下での入学式という風景はなくなりますが…

NHK 新プロジェクトX

今月6日にNHKの「新プロジェクトX」が始まりました。旧シリーズの「プロジェクトX」は2000年から5年半に渡って、黒四ダム、青函トンネルなどの巨大建設工事、VHS開発などのプロジェクトに関わった人々のドラマを紹介しました。私の大好きな番組でVHS、東海道新幹線、YS11(日本初の国産旅客機)などの番組を覚えています。オープニング曲「地上の星」とエンディング曲「ヘッドライト・テールライト」が印象的でした。

新シリーズの放送前に生徒の皆さんのご父兄に番組を紹介しました。4月6日の初回は東京スカイツリーの建設工事がテーマでした。私は授業があるので録画して、その日の深夜に番組を見ました。大工事に挑む技術者の苦悩、最初は対抗意識のあった職人たちのチームワークが上手く紹介されていました。良い番組だと思いました。何人かの生徒さん達も番組を見て感動したそうです。

番組に登場したゲストが「達成感」という言葉を使っていました。困難な目標に立ち向かい、様々な苦難を乗り越えて目標を成し遂げて得られる達成感は素晴らしいです。私自身のビジネスマン時代を振り返っても、達成感を求めて仕事をしていたように思います。生徒の皆さんにも「達成感」を味わって欲しいと思います。高校入試・大学入試での合格が代表例ですが、定期テストでの好成績も同じです。頑張ってテスト勉強すれば好成績を取れます。「やればできる」という達成感です。この蓄積で学力は向上します。

20年前の旧シリーズに関しては残念なこともありました。「やらせ」です。実際は荒れておらず、前々から吹奏楽部があった高校を、荒れていて音楽など全く縁がなかった高校と紹介しました。(2005年5月10日放送分) 大好きだった番組が終わった原因を知って虚しく思った記憶があります。中高生に「自分も頑張ろう」という気持ちを起こさせる素晴らしい番組なので、視聴率を狙った脚色は絶対に避けて欲しいです。

女性「Uターンない」

4年前の2020年3月12日付け本欄「挑戦そして感動」で、センター試験(今の共通テスト)で失敗してD判定(合格可能性35%)という厳しい判定がついたものの金沢大学に逆転合格を果たしたAさんをご紹介しました。受験前にトラや白くまに追いかけられて食べられてしまう夢を見ていたAさんの頑張りのことを考えると今でも涙が出てきます。そのAさんは先月大学を卒業し、今月から東京のある大企業で働き始めました。

Aさんの東京での就職に関して気になるデータがあります。昨年12月1日に日本経済新聞の北陸経済面に掲載された記事で、北陸経済連合会が行った女性の就業意識に関する調査結果です。首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)で働く北陸出身の女性169人の63%が「北陸に戻ることはない」と考えているそうです。この数値は3年前の調査から14ポイント増えました。その理由として首都圏の魅力が多く挙げられたと同時に、「地元は閉鎖的」や「やりたい仕事が北陸にはなかった」などの北陸に対する消極的な評価があったそうです。

これは女性に関するデータであり、もし男性に対して同じ調査をしたなら「北陸に戻ることはない」と考えている人の割合はさらに大きくなると思います。私の教え子で首都圏の大学に進学した男子はほとんど石川には戻っていません。

この状況に対する考え方はいろいろあると思います。世の中はそんなものだと考える人もいるでしょうが、私は、地方創生の観点から真剣に検討すべき課題だと考えます。今から約150年前の明治維新では、日本が欧米諸国に追い付くために中央集権を進めなければなりませんでした。地方は東京に対する人材の供給基地として機能していました。しかし、今は時代が全く異なります。ICT(情報通信技術)の時代ですから東京に集中する必要はありません。

首都圏、名古屋圏、関西圏の大学に進学して視野を広めた人材が石川に戻って活躍すれば、地元がより元気になると強く思います。インターネットで調べてみると、石川県はUIターンを促進する取り組みを行っていますが、腰を据えて実施しているとは思えません。大都市圏の大学に進学した私の教え子達が就職活動をしている時、ごく一部の例外を除いて、彼らの就職希望先に石川の企業は入っていませんでした。県の取組みが就活生に届いていないのです。これで良いのでしょうか。

因みに、Aさんは石川の会社の内定を辞退して東京の会社に就職しました。とても頑張り屋さんなので地元に残って欲しかったです。東京でキャリアを積んだ上で石川にUターンするというシナリオは、残念ながら期待薄です。

出会い、そして別れ

先週のある日、大学受験を全て終えた生徒さんとちょっと豪華なランチをしました。「金沢情報」2月28日号・学習塾特集の広告で写真のモデルになってくれたMさんです。Mさんは中2から高3まで通ってくれました。5年間という長い間一緒に勉強してきました。様々な出来事、受験勉強そして将来のことなど話題が尽きず、ランチの3時間はあっという間に過ぎました。

私は一人一人の生徒さんとなるべく話をするようにしています。Mさんとも勉強法、進路、気持ちの持ち方などいろいろな話をしてきましたが、彼女はちょっと特別でした。Mさんは斜に構えることなく非常に素直なので、遠慮なく腹の底から話をすることができました。そのような関係でしたから、ランチの楽しさは格別でした。

Mさんとのランチ後、自宅近くのお寺の掲示板の言葉が目に入りました。「人は出会いによって育てられ、人生は別れによって深められる」(京都東本願寺・法語行灯)という言葉です。もう彼女と一緒に勉強することはできないと寂しく思っていましたから、心にしみました。

新年度に入り、新たに一緒に勉強し始めた人が何人かいます。この出会いによって彼ら彼女らが着実に成長できるように頑張らなければならないと気持ちを引き締めています。Mさんは関西の大学に進学しました。今後も何らかの形でサポートできれば良いなと思っています。