ある就活の話 - サミット・ゼミ | 少人数制の学習塾

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ある就活の話

中3の皆さんが修学旅行に出かけた先々週、私は東京へ遊びに行きました。当ゼミの年中行事の一つです。以前は2泊でしたが、近年は3泊しています。大学進学や就職で東京に住んでいる教え子が多くなったからです。今回は大学や高校の友人、教え子達と会う充実の旅でした。今回の東京旅行の目的の一つは早稲田大学4年のNさんと話すことでした。Nさんは中2から高3まで通ってくれた女子です。卒業の時に贈ってくれたシャツを着てJR有楽町駅で待ち合せました。

話題は何といっても就活でした。近年は採用する企業側よりも就職する大学生側の立場が強い売り手市場と言われています。しかし、人気企業へは学生が集中するので、有名大学、難関大学の学生でも就職は決して楽ではありません。Nさんはどうかなぁ~と心配していましたが杞憂でした。既に内定を幾つかもらっていて、どれも素晴らしい会社でした。就活の話というより、どの会社がより良いかという話になりました。こうなると私のビジネス感覚が生きます。

非常に残念だったことはNさんの就活対象に石川の企業が含まれていなかったことです。何故石川の会社を就職先候補にしなかったのか尋ねました。大学の友人たちは皆、東京の企業を考えているので、自分もそうなったという答えでした。ごく自然な考えです。大都市、特に東京の大学に進学した人は東京で就職する傾向が強いです。東京の大学で学んで石川で就職した教え子もいますがごく僅かです。

先月11日付け本欄『女性「Uターンない」』で述べた通り、石川県はUIターンを促進する取組みをしています。しかし、東京の大学で学ぶNさん達はその取組みを知りません。彼ら彼女らは石川にも東京株式市場のメインマーケットであるプライム市場に上場している会社が多数存在していることを知らないのです。

最近は東京一極集中がまた進んでいると言われています。Nさんや他の教え子達のことを考えると確かにそうです。これでは地方が中央への人材供給基地であった明治時代と同じです。地方は帰省先で自然や食を求めて旅をする場所という位置づけだけで良いのかと複雑な思いを抱いて金沢に戻ってきました。