塾長からの一言 - サミット・ゼミ | 少人数制の学習塾 - Page 3

サミット・ゼミ
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塾長からの一言

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グローバル社会で必要なもの

先々週の本欄で、日本経済新聞の「ヒートアップ中学受験」という先月の連載記事について触れました。連載最終日の記事は、過熱する中学受験に背を向けて世界をめざす親子が出てきたことを紹介していました。そういう親子は、グローバル社会で必要な語学力や問題解決能力、リーダーシップを身につけるためには、海外進学が早道と考えます。

社会に出てグローバルに活躍するための条件が端的に表現されています。他にも対話力や交渉力などの要素がありますが、語学力、問題解決能力、リーダーシップは非常に大切な要素です。その記事を読みながら、学習塾として何ができるだろうかと考えました。

自分にできることは、やはり英語です。英語はサミット・ゼミのアピールポイントです。現役時代、英語は得意ではなく、早稲田大学の入試で完敗しました。英語を浪人時代に克服した経験は大きな武器になっています。このように勉強すれば絶対に英語が分かるようになるという授業をしているつもりです。東京外国語大学・英語学科の合格実績は私の自信を支えてくれています。

大学入学共通テストが要求する様々な種類の大量の英文を読む力、2次試験が要求する高度な英文読解力や小論文的な自由英作文を書く英作力は、そのまま社会で通用します。大学入試を目標にしてそれらの力を鍛えるだけでは足りないと考えています。センター試験から共通テストへの移行に伴って出題されなくなった発音・アクセントや文法・語法にも注意するつもりです。

発音・アクセントの学習は生徒の皆さんが将来、海外の人たちとコミュニケーションを取る時に必ず役立つはずです。一般的な日本人は発音・アクセントにはあまり注意していませんから、正確な発音・アクセントは評価されるでしょう。私自身の経験から断言できます。また、文法・語法の学習は将来のTOEICのような資格試験につながります。大学入試を突破するだけではなく、社会で通用する英語力を鍛えます。

先取り教育について

今年9月、星稜高校が学習塾対象に開いた入試説明会に出席しました。その時に印象に残ったのが、星稜中学の中高一貫理数コースを説明する先生の言葉でした。大学入試を見据えた6年間を送るために先取り教育を行っていると自信を持って話されました。錦丘中学でも一部先取り教育をしているようですが、石川県で大都市圏の中高一貫校と同じ先取り教育を実施しているのは星稜の中高一貫理数コースだけです。

先取り教育をして高2終了時までに高校の全課程を習得すれば高3の一年間を大学入試対策に費やせます。大学受験において有利になるでしょう。しかし、絶対に先取り教育が必要というわけでもありません。サミット・ゼミには現役で京都大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学などの難関大学に合格した人が数多く在籍しました。

先取り教育ではない普通の進み方の授業を受ける人たちも十分な合格実績を残すことができます。ただし、先取り教育を受けている人たちに負けないための条件があります。それは各学年の勉強をきちっとこなすことです。然るべき基礎力を築いて高校に入学し、各学年の勉強を着実に積み重ねることができれば大学入試において先取り教育を受けた受験生と十分に戦うことができます。

サミット・ゼミの中学クラスでは、先取り学習に当たる学校の授業の予習はしません。生徒の皆さんが学校の授業を聞かなくなることが危惧されるからです。それは中学の先生方に対して失礼に当たると考えています。私は公教育を尊重しています。しかし、学校の授業の進行が非常に遅くて生徒の皆さんが不安になる場合はその限りではありません。

先取り学習をしない代わりに、中学の中間・期末テスト毎に試験範囲の復習には万全を期します。定期テストの学習を着実に積み重ねればハイレベルの高校にも合格できます。これが中学クラスの基本的な授業の進め方ですが、大切なポイントがあります。それは中学英語の文法は完璧にすることと数学の難しい問題でしっかり考える習慣をつけることです。これらは高校で伸びるための大切な条件だからです。

中学英語を完璧にし、数学における思考力を鍛えて高校に進み、高校の定期テストの勉強にしっかり取り組めば十分な実力を身に付けることができます。ただし、高校の授業では足りない点もあります。進学校でも英語の速読や英作文、特に自由英作文の練習は不足しています。サミット・ゼミの高校クラスは高校の授業で不足しているところをカバーしているという側面があります。

大都市圏の中高一貫校や星稜中学の先取り教育は大学受験に有利になる傾向がありますが、普通の中学・高校で各学年の勉強をしっかり着実に積み重ねれば特段の問題はないと思います。難関大学にも十分合格できます。

私立中受験ブーム?

先月10/23(月)から10/26(木)まで日本経済新聞に「ヒートアップ中学受験」という連載記事が掲載されました。首都圏では空前の私立中受験ブームになっており、以前は小4前後から塾通いしていたのが、小1からでも早くないという状況になっているそうです。文部科学省の調査では21年度の公立小学生の塾代が約8万円と3年前の1.5倍になっています。夏期講習などだけで10万円単位が必要な塾もあるとのこと。驚くばかりです。

高い進学実績を持つ伝統校や、有名私大に進める付属校や系列校の人気が高まり、局所的な過熱現象が起きているそうです。近畿圏も状況は似ています。首都圏や近畿圏のような大都市圏と当地のような地方では進学に関する状況が全く異なります。大都市圏では公立校ではなく私立の中高が選ばれる傾向が強く、地方では公立高校に不合格になれば私立高校に行くのが一般的です。

金沢に住んでいると全く分かりませんが、首都圏での中学受験はヒートアップしています。私立中受験がヒートアップする中、日比谷高校のような東京都立のトップ進学校は説明会を開いています。説明会の対象は中学生ではなく小学生の親子だそうです。ここまでしなければならないようです。中学受験を経験しながら公立中を選び、日比谷高校に進んだ生徒の声が紹介されていました。「中学は色々な家庭環境の友人と、高校は受験で同じ目標を持つ友人と過ごすことができ、とても良い経験になっている。」

この日比谷高校の生徒の声は、石川における中学、高校への進み方で十分であることを物語っています。これを読んでホッとしました。高いお金を出して小1から準備を始めるという首都圏での私立中受験ブームは健全だとは思えません。一切気にしなくても良いのですが、私立の中高一貫校では先取り学習をしていることには注意が必要です。このことについては今後述べるつもりです。

先生の影響力

日本経済新聞の最終面に連載されている「私の履歴書」は私の愛読欄の一つです。今月は前日本銀行総裁の黒田東彦さんのお話しです。大規模な金融緩和でアベノミクスを支えた黒田前総裁の履歴書は興味深いです。11/3(金)は黒田さんの小学校時代のことが書かれ、二人の恩師が紹介されました。その日の最終段落は「小学生の時は友達もできるが、何といっても先生の影響が大きい。鈴木先生と山田先生という素晴らしい恩師に巡りあえたことが、その後の生涯を決めたように思う。」でした。

ドキッとしました。サミット・ゼミには中2生から高3生が通ってくれています。彼らにとって私の存在は小さくないはずです。私が思っている以上に影響力は大きいかもしれません。改めて生徒の皆さんを上手く導かなければならないと思いました。

私自身も小学校、中学校そして高校の先生方のことをよく覚えています。特に、中3時の担任であった今田勇次先生には大きな影響を受けました。先生は生徒との交流を大切にされていました。涙を流しながら生徒を叱ったこともありました。私の生徒の皆さんへの接し方は今田先生がモデルです。また、先生が卒業文集に書かれた言葉は心の中に残っています。

大学時代に自分が学習塾をするとは全く考えていませんでした。19年間のビジネスマン経験を経て、ひょんなことからサミット・ゼミを始めたことは偶然だったのか必然だったのか… とにかく25年間続けることができ約400人の生徒さんと一緒に勉強してきました。これからも生徒の皆さんが私から何かを学び刺激を受けて伸びていけるように、社会に対するアンテナを高く保ち、自分自身の勉強を忘れずに頑張るつもりです。

関係代名詞のメモ

中3生は学校の英語の授業で、中学英語の中で最も難しい関係代名詞を学ぶ単元に入っています。関係代名詞が理解できなければ高校英語は分かりません。それほど重要な文法分野です。先日の中3クラスではこの関係代名詞を説明しました。サミット・ゼミでは先取り学習はしないで、中学生の皆さんが教科書で新しい文法を学ぶタイミングで各分野を説明します。

手元にA4用紙1/4サイズの小さなメモがあります。関係代名詞のポイントをまとめたものです。これ以上分かり易い説明の仕方はないという自慢のメモです。十数年以上前に、ポイントをまとめておこうと思ってメモを作りました。最初のメモの作成以降、毎年中3クラスで関係代名詞を説明する度に、分かり易さの度合いが増しました。メモの内容強化が数年続いて、10年前位に現在のメモになりました。当時は、あれっ、去年より良い説明になっていると思ったものです。

先ずは、メモの内容をホワイトボードで説明した後、教科書の基本文を使って具体的に解説しました。その次の授業では、教室でいつも使っている文法の参考書で関係代名詞を説明して問題練習をしました。さらにその上で、もう一度問題練習をしました。問題練習の後は丁寧に答え合わせをしましたから、中3の皆さんはかなり理解してくれるようになりました。

今月後半に各中学で2学期期末テストが予定されています。関係代名詞はその試験範囲に入ります。今後の中3クラスでは、教科書の試験範囲を復習した上で問題練習をします。万全の準備をして期末テストに臨みます。

25年間の進学実績

先週開校25周年を迎えたのを機にこれまでの進学実績をまとめてみました。大学は実際に進学した学校で、進学しなかった合格私立大学や浪人後の進学大学は含まれていません。

大学
京都大 1名、大阪大 2名、名古屋大 1名、東北大 2名、東京工業大 1名、神戸大 2名 (いわゆる難関10大学 9名)、東京外国語大 4名、お茶の水女子大 2名、大阪公立大 1名、千葉大 1名、金沢大 9名、新潟大 6名、信州大 1名、富山大 6名、早稲田大 4名、東京理科大 3名、青山学院大 1名、立教大 1名、法政大 3名、津田塾大 2名、立命館大 2名、関西大 1名、関西学院大 1名他

高校
泉丘 40名、二水 23名、桜丘 12、錦丘 9名、金沢大附属 3名、羽咋 19名、七尾 3名他

一クラス6名までの少人数制で、一時の例外を除いて私一人で教えてきましたから、上記の進学実績を振り返ると感慨深いものがあります。この中のかなりの数の教え子たちと連絡を取り合い、食事をしたりお酒を飲んだりしています。彼らの成長は大きな楽しみであります。私の経験、知識、技能を活用して彼らをサポートしています。そのために経済、社会、科学などの世の中の動きに対するアンテナを高くしておくつもりです。

立派な教え子がたくさんいますから、彼らとのコミュニケーションを通して現在ゼミに通ってくれている中高生の皆さんの参考になることを検討したいと考えています。

おかげさま25周年です

本日(10/17)、おかげさまでサミット・ゼミは開校25周年を迎えることができました。長い間ご支持頂きまして誠にありがとうございます。25年は四半世紀です。「四半世紀」という言葉はグッと胸に迫るものがあります。

25年前の1998年10月17日に羽咋で開校しました。直ぐに金沢との2教室体制になりましたが、金沢と羽咋の頻繁な往復に体が持たず、金沢教室だけになりました。この間、一時的に金沢大学の学生に羽咋教室の授業をお願いしたことがあります。これまでに教室に通ってくれた生徒さんの数は、羽咋で93人、金沢で294人になります。6名までの少人数制を貫いていますから、本当に多くの生徒さん、ご父兄の方々に信頼して頂きました。感謝の言葉しかありません。

25年前に中1だった健太郎君と亮太君は今年38歳になり、それぞれ高校の先生、SE(システムエンジニア)として活躍しています。彼らをはじめ数多くの教え子が大学生、社会人になりました。LINEでつながっている人たちもたくさんいます。彼らと金沢や東京でランチしたり飲んだりする交流はこの上なく楽しいです。私自身は決してサラリーマンとして成功したわけではありません。上手くいったこと、そうではなかったことの経験は教え子たちの参考になると思っています。

学校の先生と私の大きな違いはビジネス経験です。大学卒業後に就職した日産自動車で社会人として一人前になり、その後転職もしました。結果的に、法務、輸出マーケティング、輸入マーケティング、経営企画などの仕事を経験しました。中高生の皆さんはビジネスの経験談を興味深く聞いてくれます。ビジネス経験を基にして何故勉強することが必要かを話せば、彼らは納得してくれます。日産自動車・法規部時代に出会った著名な顧問弁護士の先生に、かなりの回り道をした上で天職に巡り合えたね、と言われました。

大学時代、ある友人は「大谷は先生に向いている。」と言いました。鋭い指摘でした。別の友人は「短気がお節介を着て歩いている。」と言いました。お節介は面倒見の良さにつながっていると思います。短気については、結構我慢していますが、今も課題の一つです。生徒の皆さんが安心して頼ってくれるように悠然と構えるように心掛けています。

高校入試、大学入試に向けて、そして社会人として生徒の皆さんが伸びていく姿は感動的です。彼らをサポートすることが自分の人生の責務だと考えています。これからも頑張ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

偏差値を上げることは難しくない

今月末に高1生・高2生は進研模試を受けます。進研模試は受験者が40万人を超える全国模試です。自分の成績が全国レベルで分かるので、どの大学に合格できる水準にあるかを知ることができます。とても貴重な情報です。

先月初めに高2クラスの2名と7月の進研模試結果について個別に面談しました。2名とも志望校の合否判定は良くありませんでした。しかし、今の成績を前提として志望大学を変える必要は全くありません。それをすれば志望大学のレベルがだんだん下がっていく可能性があります。そうではなく、どうすれば自分の成績を志望校合格のレベルまで上げられるかを検討すべきです。

先月の面談では、志望校レベルに達するためにはあと何点取れば良いかについて具体的に話しました。例えば、金沢大学の場合、学部にもよりますが、進研模試で偏差値60がボーダーラインです。7月の進研模試の英語は全国平均点が31.9点(100点満点)でした。仮に英語が平均点(偏差値50)だったとすれば、偏差値を60にするためには約17点上げる必要があります。

70点を87点にすることは厳しいですが、32点を49点にすることはそれほど難しいことではありません。基礎をしっかり固めれば十分可能です。高2クラスの2名に、英語や数学で志望校レベルまで何点が必要かを話したところ意外そうな表情を浮かべました。進研模試結果には各科目の分野別得点が示されています。分野ごとに上積み可能な点数を指摘したところ、十分可能だと納得してくれました。

英語の解説がない!

今週日曜日(10/1)の日本経済新聞のコラム「春秋」は、観光地における訪日外国人に対する情報提供の不十分さを取り上げていました。広島から厳島神社のある宮島へ船で向かう訪日外国人が多いものの、途中で見る島々の歴史についての英語の解説がないので、彼らはスマホを眺めたり寝込んだりしていたそうです。「なぜここでひとこと解説がないのか」と惜しく感じる観光地は全国に多いと指摘していました。

丁度一週間前に、全く同じことを感じました。9/24(日)に高2の姪と兼六園を散策しました。成巽閣の前を通った時、姪が関心を示したので入ってみました。成巽閣の存在自体は知っていましたが、入ったのは初めてでした。加賀藩13代藩主・前田斉泰が母堂の隠居所として建てた歴史的建造物で、1階は書院造、2階は数寄屋造になっており、諸道具、衣装、書画、人形が展示されていました。加賀藩の文化として興味深かったです。

成巽閣にも訪日外国人がたくさん訪れていて驚きました。建物内の幾つかのポイントで、ボタンを押せば部屋や展示品の説明が音声で流れました。しかし、それらは全て日本語に限られていました。英語のパンフレットは準備されていましたが、英語の音声があれば、せっかく訪れた外国の人たちの満足感は大きくなると思いました。帰り際に料金所の係員に英語のアナウンスについて聞いたところ、その予定はないとのことでした。(自宅に戻って調べると、成巽閣のホームページは英語にも対応していました。)

訪日外国人が東京、京都だけではなく日本各地を訪れて歴史や文化に触れることは大変素晴らしいことです。「なぜここでひとこと解説がないのか」という状況は是非改善すべきです。インバウンドによる経済効果も良いのですが、外国の方に日本をもっと知ってもらうことは非常に重要だと思います。大袈裟に言えば、相互理解は国際平和につながります。街中に住んでいる私にできることは、道に迷っている外国人を助けることくらいかなぁ~

私立高校の使命

一昨日(9/26)、金沢高校の来年度入試説明会に行ってきました。私立高校は学習塾を対象に入試説明会を開催してくれます。私は毎年、星稜高校と金沢高校の説明会に出席しています。星稜高校の説明会は先々週に開かれました。

説明会では来年度入試の内容だけではなく、教育の特徴や今年度入試の結果について聞くことができます。学習塾にとって貴重な情報を得られます。当然のことながら両校とも自校の教育をアピールするのですが、説得力に欠けていると思わざるを得ません。それは、大学合格実績が素晴らしいとは言えないからです。

星稜高校の今年の金沢大学、難関大学(旧七帝大・東京工業大・一橋大・神戸大)合格者はそれぞれ18名、6名でした。同校の過去10年平均は、それぞれ22.4名、8.8名です。金沢高校の今年の合格者はそれぞれ8名、2名で、過去10年平均とほぼ同じでした。因みに、桜丘高校の今年の実績は、それぞれ64名、15名です。

大都会では中学生の進学先として公立高校より私立高校が選ばれる傾向が強いのですが、当地では状況が異なります。公立高校入試で残念な結果になった生徒が私立高校に入学します。15才の春に公立高校に不合格になれば精神的なショックは計り知れないほど大きいと想像できます。それらの生徒には大学入試でリベンジして欲しいと思います。

星稜高校や金沢高校には泉丘、二水、桜丘に不合格になった生徒が通います。高校入試での失敗をバネにして大学入試でリベンジできるようにそれらの生徒を導くことが両校の使命だと考えます。私の手元には過去20年間のデータがあります。星稜高校は2007年、金沢大学合格者が44名で過去20年間で最多でした。同年の難関大学合格者は20名でした。同じ年の桜丘は、金沢大学57名、難関大学6名でした。是非このレベルを目指して欲しいです。

究極の一言

今月の高2クラスで「大学受験の心構え」というオリジナル資料を配りました。7月の全国模試の結果に基づき個別に面談して志望校について具体的に話しました。大学受験を具体的に意識してもらうために、毎年、この時期にそのプリントを配ります。ある受験雑誌の抜粋と私自身の経験をまとめた資料です。その抜粋の中には、受験生のモチベーションを高める究極の一言が含まれています。

「大学受験の心構え」を配った高2クラスの後、高3クラスで、そのプリントの内容を覚えているか聞いてみました。高3の皆さんは、内容はぼんやりと覚えていたものの、上述の究極の一言は忘れていました。その一言が載っている受験雑誌のページを開き、コピーを取って教室の出口に掲示しようかと提案したところ賛同を得ました。

そういう次第で、先週から受験雑誌のそのページのコピーを玄関の横の目に入り易い個所に掲示しました。究極の一言には赤マジックで下線を引きました。非常にインパクトのある言葉なので、高校生の皆さんのやる気に直結しているはずです。また、中学生の皆さんの目にも入りますから、良い刺激になっていることでしょう。

この言葉の紹介はここでは控えさせて頂きます。気になる方はどうぞ当ゼミをご利用下さい!

速読練習の成果は? その2

本年7/13付け本欄で述べた通り、今年度の中3クラスでは英文の速読練習を2月から始め、7/2の石川県総合模試での英語はまあまあの成績でした。夏期講習では文法の既習分野を総復習した上で、8/11に模試過去問を使って速読練習をしました。中3生諸君は私の想像以上に速く問題を解き終えたことを覚えています。かなり速読に慣れたようでした。そして、夏期講習終盤では模試過去問を3回解いて、8/27の模試と学校の実力テストに備えました。

先週8/27模試の結果が届きました。受験者全体の英語の平均点は44.6点で難しいテストでした。中3クラス4名の内、速読に慣れた3名の平均点は85点でした。この点数の科目別偏差値は70で、素晴らしい成績でした。2月から積み重ねてきた速読練習の成果が出たと思います。昨年度までとは異なる新たな試みが上手くいきました。とても嬉しかったです。

英語は実力がつけば成績がバラつくことはありません。数学の場合、実力があってもちょっとしたミスで大失敗することがあります。ですから、英語が得意になれば入試に強くなります。英語が得意になるためには然るべき努力が必要ですが、その努力は必ず報われます。

中3生の速読の基礎は文法です。文法の勉強をしっかりすれば英文を速く読むことができるようになるのです。例えば、不定詞を使った英文では名詞的用法、副詞的用法か形容詞的用法かを判別する必要があります。中学生にとって易しくはありません。しかし、それぞれの用法をしっかり理解して数多くの英文で不定詞を見る経験を積めば、どの用法かは直ちに判別できるようになります。

8/27模試で英語が伸びなかった生徒さんもいました。文法の甘さが主な原因だと考えていますが、他の要因があるかもしれないので分析するつもりです。

国際人に必要な対話力

先週ご紹介した日本経済新聞の連載記事が終了した後、関連するインタビュー記事が何回か掲載されました。その中の一つにグローバル人材の育成に関するものがありました。昭和女子大キャリアカレッジ学院長の熊平美香さんへのインタビュー記事でした。熊平さんは国際化教育に詳しいそうです。

そのインタビュー記事の見出しは「国際人 必要なのは対話力」でした。多様な人と対話できる力を子どもに見につけさせることが必要、人の意見に賛成か反対かちゃんと表明でき、話し合いで対立を解決する力を育む、知識を身につけるだけでなく英語を使えるようになることが大切、これから求められる英語力は人間関係をつくる力、というような興味深い指摘がありました。

日本国内でも人とのコミュニケーションにおいて対話力が必要です。さらに世界で活躍するには英語で多様な人と上手くコミュニケーションを取らなければなりません。しかし、どこでどのように対話力をつけるかは大きな課題です。学校で対話力を育成することは難しいかもしれません。今の学校教育の課題の一つでしょう。

熊平さんは、知識を身につけるだけではなく英語を使えるようになることが大切だとも指摘しました。私自身の国際ビジネス経験からも、まさにその通りです。ゼミの英語の授業は直接的には大学受験や高校受験を目的としていますが、私は生徒の皆さんが将来、英語でコミュニケーションを取るということも想定しています。単語の発音・アクセント、イントネーションに気をつけていることが具体例です。

入試に強く、社会に出てからも役にたつ英語がサミット・ゼミの最大の強みであると自負しています。これからもますます磨きをかけるつもりです。上述した対話力についても学習塾という限られた環境の中でできるだけの努力をするつもりです。テスト結果や模試結果に対する個別面談の場が1つの機会であると考えています。

未来を拓く人材

今月7日から11日までの五日間、日本経済新聞1面に「教育岩盤 突破口を開く」という連載記事が掲載されました。連載記事の最終段落は「(教育界の)変化を嫌う体質を打破しない限り、未来を拓く人材は育たない。まず動くべきは学校であり、それを支える私たちだ。」でした。

連載記事の中からキーセンテンスを以下に列挙してみます。
・日本の教育は、物事に必ず1つの正解があると考え、早く効率的にたどり着くことを重視する「正解主義」を取ってきたが、それではAI時代に通用しない。
・受験競争が激しい東アジアの国・地域は失敗を恐れる生徒の割合が高く、OECD加盟国の中では日本の77%が最高である。
・価値創造をもたらす「良い失敗」の欠如が日本の行き詰まりの根底にある。

1972年の学制発布以降、日本の教育は近代化したものの、社会は激変したのに教育界は抜本改革を避けてきたため未来を拓く人材が育っていないという危機意識からの連載でした。今は、あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(Internet of Things)やAI(人工知能)を用いて製造業が革新している第四次産業革命の時代と言われています。価値を創造する人材、イノベーションを創出する人材が求められています。

連載最終回の「優等生は育っても、とがった才能を輩出できない」という指摘が印象に残りました。学校ではありませんが、中高生と接している私に何ができるのかを考えました。覚えるべきものは覚え、考えるべき時は考える(知識を蓄積し思考力を磨く)という基本は変わりません。2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊教授の指摘の通り、これが創造性の前提だからです。

未来を拓くとがった才能を伸ばすには、自由にものが言える雰囲気作りと教える側からの情報提供が必要なのではないかと考えます。第四次産業革命に関する世の中の動きを紹介し、のんびりしていたら日本は先進国から脱落してしまうという問題提起をすれば、自分が何とかしてやろうというような生徒が出てくるでしょう。

生徒全員がとがった才能を持つ必要はありません。その可能性を持った生徒さんと出会った時は、その才能を伸ばせるような刺激を与えたいと思っています。

どこまで教えるか

先週の本欄では日本経済新聞スポーツ面に連載されている「悠々球論」をご紹介しました。このコラムを担当されている野球評論家である権藤博さんの人間観察力に惹かれ、毎回興味深く読んでいます。先週の本欄を書くにあたり権藤さんについてインターネットでいろいろ調べてみました。すると、これまた興味深い話を見つけました。

私は知りませんでしたが、権藤さんはアメリカ・フロリダ教育リーグでコーチの修行をされたそうです。日本のプロ野球でコーチや監督を務める前にしっかり勉強されていたことに感銘を受けました。そして、その修行時代の経験から、選手を大人扱いする”Don’t over teach”という主義を貫いたそうです。

この「教え過ぎない」という主義に思わず膝を打ちました。一人一人の選手の個性を尊重して、選手の自主性を引き出すためにover teachしなかったのだと思います。私も同じようなやり方をしているので、親近感を覚えました。

数学ではあまり教えません。各分野のポイントはしっかり教えて、プリントでの問題練習の時は生徒の皆さんの解答に丸付けをするだけです。間違った時は、もう一度考えてもらいます。必要に応じてヒントを出しますが、答えは教えません。生徒の皆さんにしっかり考えて欲しいからです。安易に教えることは彼らの思考力を伸ばすことにはならないと信じています。ヒントの出し方は生徒さんによって異なります。どこまで教えるかは難しい判断です。

英語の授業のやり方は数学とは全く違います。各分野のポイントを説明した上で問題練習をして答え合わせをするやり方で、6名までの生徒さん全体を引き上げます。以上の数学と英語の授業のやり方は中学クラスのもので、高校クラスの授業のやり方はそれぞれ異なります。

人の痛みを知る

日本経済新聞のスポーツ面に「悠々球論」というコラムがあり、野球評論家の権藤博さんが担当されています。権藤さんはプロ野球中日で活躍し、引退後は中日、近鉄、ダイエーで投手コーチをされ、最後は横浜の監督をされました。「悠々球論」はおそらく2週間毎の掲載ですが、人間観察力に長けている権藤さんのコラムは毎回興味深いです。

先週木曜日(8/10)の同欄のタイトルは「人の痛み知る監督の采配」で、広島の新井貴浩監督に関する文章でした。新井監督は試合状況のいい時も悪い時も、ベンチで穏やかな笑みを浮かべているそうです。もう君たちに任せた、といわんばかりの悟った笑顔がいいと述べています。新井監督自身が現役時代にとても苦労したので、それが選手への「ダメもとでいいんだよ」という思いやりになって表れていると分析されています。

「人の痛み知る」という言葉にハッとしました。中高生の皆さんに安心感を与えるため明るくどっしりと構えているつもりですが、痛みを知るレベルにまで至っているのであろうか… 権藤さんのコラムは私の心構えに良い刺激を与えてくれました。新井監督の穏やかな笑みを参考にしたいと思います。

高校生の皆さんとは全国模試が戻ってきた時に30分の時間を取って個別に面談しています。もうすぐ7月の模試結果について皆さんと面談しますから、人の痛みを知るというポイントは忘れないようにしたいと思っています。彼らの意見、気持ちを十分尊重するつもりです。ただし、本年6月22日の本欄「どこまで言うか」で述べた通り、生徒の皆さんの目標を実現させるためには強く言わなければならないこともあります。この辺りのバランスが非常に難しいです。

1次関数・解法パターン

中3クラスの夏期講習は順調に進んでいます。3週間前の本欄でご紹介した通り、数学は方程式応用問題、1次関数と三角形の合同の証明の3つに特化して問題プリントを何枚もこなしてきました。1次関数の問題を解き終わった時には、解法パターンをホワイトボードに書いて説明し、生徒の皆さんにはノートに書き写してもらいました。

1次関数は3つの分野の中では最も配点が大きいので、特に重要な分野です。様々な問題がありますが、幾つかの解法パターンがあります。授業では6つの解法パターンを説明しました。プリントにあった問題を使って説明したのでパターンをしっかり理解してくれたと思います。ある問題では、6つのパターンの内の2つのパターンを使って解きました。目の付け所を説明した上で解く手順を説明しました。

このような教え方の背景には私自身の経験があります。高校時代に「解法のテクニック」(矢野健太郎著)という参考書を使っていました。数学が好きな高校生に人気があった参考書です。因みに、私は、数学が好きで理数科に入りました。(高3になる時に転校して文系に替わりました。) その本を勉強して様々な解法パターンを身に付けました。私にとって忘れられない参考書です。

数学の問題を解く際の目の付け所のパターンを数多く習得するという勉強の仕方は高校の数学につながります。生徒の皆さんが高校に進み、チャート式やフォーカスゴールドのような参考書を使って勉強する時に、中3の夏期講習で1次関数の解法パターンをノートに書いたなぁ~と思い出すのではないかと思います。

夏期講習の数学は宿題形式で問題練習を行ったので非常に順調に進行しました。夏期講習終盤の50分総合問題練習の回数を予定より増やせそうです。総合問題練習の回数を増やせば、生徒の皆さんの経験値が上がります。経験値が上がればテストで失敗する確率が小さくなります。3回の予定を4回に増やして模試過去問に挑戦した上で、今月末の模試、学校の実力テストに臨みます。

「チャットGPT、塾で活用」

今回のタイトルは今週の日曜日(7/30)の日本経済新聞7面に掲載された記事の大見出しです。教育各社で生成AI「チャットGPT」を導入する動きが広がっていることを紹介する内容でした。学習塾を運営する者として興味深い記事でした。

この分野で先行する塾では、生徒の英作文をチャットGPTが添削します。チャットGPTは、文法やスペルの間違いを指摘し、文脈に合わない表現の修正案を示します。しかし、難しい単語を使ったり、細か過ぎる解説をしてしまったりすることもあり、添削内容を講師が確認しているそうです。とても便利だけれども、生徒一人一人に合わせた対応に課題がありそうです。

専門家は、暗記や計算などの単純な学習の指導はAIに代替されるだろうと語っています。日経新聞の記事は、教育各社は生徒のやる気を引き出すコーチングサービスなど、AIに代替されない分野に力を入れ、生き残りを図ろうとしている、と結んでいます。

世の中の仕事のかなりの部分がAIに取って代わられると言われています。野村総合研究所と英国オックスフォード大学の共同研究によれば、日本の労働人口の約49%がAIに代替可能と試算されています。AI化によって消える職業は、一般事務、スーパー・コンビニ店員、銀行員、警備員のような単純作業です。一方、医療、法律、コンサルティングのような創造性や独創性が必要な仕事はAIには代替されないと言われています。

教師や保育士のような人とのコミュニケーションが基本となる職業もAIによっては消えない職業とされています。しかし、日経新聞の記事のように、単純な学習指導はAIが勝っているので、生徒へのコーチングサービスが鍵になります。結局は、生徒とのコミュニケーションが重要で、彼らのやる気を引き出すことが求められるでしょう。

私は、英語や数学の授業の分かり易さの追求は当然のことで、生徒の皆さんのやる気の炎を灯すことが非常に重要だと考えています。勉強の大切さ、目標を持つことの大切さ、頑張ることの大切さを彼らとのコミュニケーションを通して伝えていくつもりです。私自身の体験や先輩生徒の実例を話したり、経済・社会の出来事を説明したりすれば生徒の皆さんの意識は高まります。一番のポイントは彼らとの対話です。様々な要素を考慮し、一人一人に相応しい雰囲気の中で対話することは、鉄腕アトムでもない限りAIには不可能です。

夏期講習・社会

先週の本欄でご紹介したように中3クラスは先週末から夏期講習に入りました。理科・社会は各10回の授業で1, 2年分野を総復習します。社会は既に授業を2回終えました。

毎年の社会の授業で注意しているのは世界人口です。世界の人口は増え続け、国別順位が変わることがあるからです。授業を始めるに当たり、今月初めに世界人口を調べてみました。(データは国連人口基金) 今年半ばにはインドが中国の人口を抜くという報道の通り、インドは14億2,860万人で中国の14億2,570万人を抜きました。そして、初めて世界人口が80億人を超えました。

社会の授業では、今年2023年に初めて世界の人口が80億人を超えたこと、今年インドが中国を抜いたこと、両国の人口は14億人を超えていることを伝えました。また、世界第3位はアメリカで3億人を超えていることも覚えるように言いました。また、GDP(国内総生産)については、アメリカ、中国、日本の次はドイツで、インドがイギリスを抜いて世界5位になっていることも参考として話しました。(データはIMF)

私自身は19年間のビジネス経験があり、学生時代の友人たちは日本経済の第一線で活躍しているので、今でも経済の動きはウォッチし続けています。また、ビジネスや観光で約30ヶ国に行ったことがあります。私の話の中には学校の先生とは異なる内容も含まれているようで、興味を持って話を聞いてくれる生徒さんもいます。

夏期講習後半の社会は歴史になります。歴史の流れについて自分なりに解説するつもりです。また、歴史小説で読んだ興味深い内容を紹介する予定です。地理や歴史を勉強することは今の日本や世界を理解する上で重要であることを生徒の皆さんに伝えたいと思っています。

夏期講習・数学の特訓

今月の中3クラスは夏期講習を見据えた内容になっています。普段の授業は英語・数学・国語200字作文ですが、夏期講習では国語読解・理科・社会も勉強します。6月末の期末テスト、今月初めの模試の後は、夏期講習に上手くつながるように授業を進めてきました。社会の授業は既に実施し、今週末からは1回3時間の夏期講習本番が始まります。

サミット・ゼミの夏期講習の特徴は数学です。英語・理科・社会は1, 2年分野の総復習、国語は評論と小説の読解練習という一般的な内容ですが、数学は3つの分野に絞って徹底的に練習します。その3つの分野とは8月末の模試から毎回必ず出題される方程式応用問題、1次関数と三角形の合同の証明です。これらの分野に強くなれば模試や統一テストの数学の得点は安定します。数学は失敗し易い科目なので、重要分野の強化は戦略的に重要です。

今年の数学はこれまでの授業の流れにより方程式応用問題から始まりました。7/2の模試の後、半月かけて問題を解いてきました。授業内に解くだけではなく宿題のプリントもありましたから、生徒の皆さんは多様な問題に慣れたはずです。模試の問題の難度をやや超えるレベルの問題もありましたからかなりの実力をつけたことでしょう。方程式応用問題はほぼ終えたので、今週後半からは1次関数です。

毎年3月の公立高校入試の数学では、方程式応用問題、1次関数・2次関数融合問題、三角形の合同または相似の証明問題は必ず出題されています。夏期講習でのこれら3分野の特訓は必ず来年3月の公立高校入試につながるはずです。

速読練習の成果は?

7/2に行われた今年度最初の石川県総合模試の結果が出ました。中3クラス4名の英語の成績に期待していました。本年2/16付本欄「新たな試み」で述べた通り、従来は中3の夏期講習後半から始めていた英文の速読練習を今年は2月から始めました。模試過去問の長文問題を使って7/2模試までに8回練習してきました。

結果はまあまあでした。模試の英語の平均点は49.0点でした。89点という好成績を収めた人もいましたが、期待したほど得点できなかった人もいました。私の期待が甘かったのだと分析しています。7/2模試の問題は公立高校入試問題と同じ形式で、会話文・長文の問題文が長かったです。特に長文問題は解くのに時間を要する問題でした。8回程度の練習では全然足りないということだと思います。

今は素直に反省しています。速読練習を早めたことは悪くはありませんでした。回数が足りていなかったことに加えて、速読の練習の仕方についても見直さなければなりません。速読の基礎となる要素の一つは文法です。中3クラスは、模試の後は夏期講習体制に入り、文法の総復習を始めています。今日の中3クラスでは、夏休み中に文法を完全マスターするように話すつもりです。

文法の総復習と並行して速読練習も実施する予定です。設問を解くための読み方というポイントについても意識的に練習しなければなりません。次の模試は8/27で、そのすぐ後には各中学の実力テストがあります。それらのテストで速読練習の成果が確認できれば良いなと思っています。速読をマスターする当面の目標は11月の統一テストなので焦る必要はありません。

考え抜く

昨今、注目される活躍をしている日本人の若者と言えば、アメリカ大リーグ・エンジェルスの大谷翔平選手(29歳、昨日が誕生日)と将棋の藤井聡太七冠(20歳)が双璧でしょうか。彼らが進行形で成し遂げている偉業は「凄い」の一言です。

今週月曜日の日本経済新聞で、藤井七冠の師匠である杉本昌隆八段の写真が目に入りました。「創論」というオピニオン面です。「若手の能力 どう生かす」というテーマで、杉本八段が藤井七冠の育て方について述べていました。「自分の力で考え抜かせる」がキーセンテンスでした。杉本八段によれば、藤井七冠はよくAI(人工知能)時代の申し子のように言われるが、小さい頃から自分の力で考え抜いてきたことが今の強さの礎になっているとのこと。

常日頃から中高生の皆さんには考えることを強調しています。様々な知識と考える力の掛け算で人間の能力が決まるという小柴昌俊東大特別栄誉教授の指摘は的を射ていると思います。思考力は人間の能力を構成する重要な要素です。

藤井七冠の強さの源が「考える」を超える「考え抜く」であることは納得できます。生徒の皆さんに日経新聞の話をしても、藤井七冠は別世界の人と思うかもしれません。しかし、特に数学で、深く考えて難しい問題を解いた時の喜びを味わってもらうことを通じて考えることの重要性を実感してもらいたいと考えています。

目標点を確保する

中3生が受ける模試がいよいよ今週末(7/2)から始まります。来年3/6, 3/7の公立高校入試に向けて7月から来年2月まで毎月模試があります。中3の高校受験生が毎月模試を受けるのは多過ぎるように感じますが、とにかく今年も信頼性が高い石川県総合模試を団体受験します。どの高校に合格できるかは各中学の学年順位が1つの目安になりますが、学年全体のレベルは年によって変動することに注意が必要です。模試では県全体における成績レベルが客観的に分かりますから、合格可能性のデータはかなり信頼できます。

先日の授業の際、受験票を渡しました。初めての模試ですから皆さん緊張しているようです。今月8日付け本欄で述べた通り、中3の皆さんは今週から来週にかけて期末テスト、模試、実力テストが続いています。テストが続く中での初めての模試ですから精神的に結構キツイと思います。

当然のことながら、模試では実力が出るものです。ただし、数学は要注意です。実力があっても数学は失敗することがあるからです。前半のある問題で考え過ぎて時間がなくなり焦ってしまうと、計算ミスにつながり、本来解ける問題も解けなくなります。時々見かける現象です。

このリスクに対して、中3の皆さんには目標点を確保するように話しています。志望校毎に、この点数を取れれば大丈夫という目安があります。例えば、泉丘高校が志望校の場合、平均点が50点として80点取れればgoodです。75点がまあまあで、70点が確保すべき点数になります。70点ということは30点落としても良いことになります。1/3近くミスっても良いと思えれば、精神的にかなり楽になるはずです。

このように考えれば気持ちの余裕を持って数学の問題に臨めるはずですが、現実はそう簡単ではありません。そのために幾つかのテクニック的なアドバイスをしています。目標点を確保する意識を持って50分の総合問題練習を積み重ねることによって確実性が高くなっていきます。数学は怖いというメンタル的な要素があるので、彼らの気持ちを楽にするために、小さなミスは大丈夫と言っています。

どこまで言うか

高校クラスの皆さんとは全国模試の結果が戻ってきた時に、授業とは別に時間を取って、個別に30分ほど面談します。勉強法や進路についてじっくり話し合います。彼らの勉強に対するモチベーションに直結する大切な時間です。生徒の皆さんの自発性を高めて可能性を引き出そうとします。高1生、高2生との面談では特に問題はありませんが、高3生の場合、どこまで強く言うべきなのか、悩むことがあります。

過去の例ですが、11月にある高3生と面談しました。難関大学を目指すA君です。A君はその大学を高2になる頃から目指していました。それなりに勉強していましたが、合格水準には達しない状況がずっと続いていました。志望校を確認すると、その大学を答えました。センター試験(共通テスト)まで2ヶ月のタイミングでしたから、強く言わなければならないと思いました。言葉を選びながら、その大学に合格するための努力ができていないことを指摘しました。

A君の目に涙が浮かびました。頑張っていると思っているのに、私から厳しい言葉を聞いたからです。状況を分析してどうするべきか考えるように言って面談が終わり、彼は教室を出ました。私の心は重く苦しくなりました。彼が志望校に合格するためには強く言わなければならなかったにしても、涙を見ると、言い過ぎだったかもしれないと複雑な気持ちになります。

その日深夜に彼からLINEが入りました。自分では頑張っているつもりだったものの、甘さがあったという反省の内容でした。目標をしっかり持ち、それに見合う努力をしたいとのことでした。LINEの最後には、面談ありがとうございました、と書いてありました。そのような連絡が入るとは思っていませんでしたから、驚くと同時にとても嬉しかったです。

結果的にA君は、当初目指していた大学ではないものの十分満足できる大学に合格しました。合格発表直後に、震える声で合格を報告する電話をくれました。どこまで強く言うかは難しい判断ですが、厳しい言葉を言えるような人間関係を日ごろから築いておくことが非常に重要だと考えています。

中2の1学期、中間テスト英語

先月末の中間テストで、2年生の英語の学年平均点が47点だった中学があります。1学期の中間テストは一年で一番易しいテストという印象がありますが、2021年度から教科書が新しくなり、英語においては状況が変わりました。特に、金沢市立の中学校が採用しているNew Horizon 2は最初の単元(Unit 1)が難しいです。

Unit 1では先ず、be going to とwillの未来形を習います。問題はその後に習う2つの構文です。基本文は”I will show you the Merlion.”(私はあなたにマーライオンを見せます。)と”People call it the Singapore Flyer.”(人々はそれをシンガポールフライヤーと呼びます。)です。前者は主語・動詞・目的語・目的語(SVOO)、後者は主語・動詞・目的語・補語(SVOC)の構文です。英語には文型が5つあり、それらは第4文型、第5文型と呼ばれる複雑な構文です。

上記のSVOOとSVOCの構文では、動詞の後ろに2つの言葉が並びます。動詞の後ろに2つの言葉が並ぶこと自体が複雑ですし、それら2つの違いをきっちり理解することは易しくありません。さらに、学年平均点が低かった中学の試験範囲にはUnit 2の一部も含まれていました。この単元ではwhenやifの接続詞を習います。接続詞も最初は理解し辛いので、平均点を下げた要因だと思います。

New Horizon 2の教科書には文法のまとめのページがあり、「5つの文構造」というタイトルで5文型を説明しています。初めてそのページを見た時にちょっと驚きました。主語、動詞、目的語、補語をそれぞれS, V, O, Cと表しています。文法の説明としては当然の用語ですが、中2生にとっては難しいと思います。果たして学校の先生方はSVOCという用語を使っているでしょうか。英語の授業が分かりづらくなるかもしれません。

因みに、サミット・ゼミでは、新しい教科書に替わったことを受けて中2からSVOCという用語を使っています。当然のことながら、最初は生徒の皆さんは戸惑います。それでも繰り返し使うことによりだんだん慣れていきます。中3の最初に5文型をしっかり説明した後は普通にSVOCを使っています。